シナネンホールディングス 【8132・プライム市場】

新生シナネンが描く、進化の道筋
エネルギー会社から「地域の困りごと」を支える会社へ

何を売る会社なのか。その問いに対する答えを変えるのは、簡単ではない。シナネンも長年、エネルギー供給を主力として成長してきた。しかし今、同社が目指しているのは、エネルギーそのものではなく、「地域の困りごと」を解決する会社だ。2026年4月、主力事業会社4社の統合によって誕生した新生シナネンは、エネルギーで築いた顧客基盤を起点に、新たな価値創造へ踏み出した。その挑戦と成長戦略を中川社長に聞いた。
シナネンホールディングス-中川 進弘

中川 進弘(なかがわ・のぶひろ)

社長

1968年生まれ。1993年、品川燃料株式会社(現・シナネンホールディングス株式会社)入社。2008年、近畿コスモガス株式会社の代表取締役に就任。その後、グループ会社の執行役員や代表取締役を経験し、2022年にミライフ西日本株式会社 代表取締役社長。2026年、シナネンホールディングス株式会社 取締役 常務執行役員 兼 シナネン株式会社 代表取締役 社長執行役員(現任)。

4社統合で始まる、新生シナネン

2026年4月、ミライフ西日本、ミライフ、ミライフ東日本、シナネンの4社が統合し、新生シナネンが誕生。シナネンホールディングスが掲げる「エネルギー会社からサービス会社へ」という変革を担う中核事業会社として、新たなスタートを切った。

今回の統合の狙いは、それぞれの強みを一つに結集することにある。法人向けに石油・ガス販売や電力などを展開してきたシナネンと、LPガスを中心に地域に根差した事業を展開してきたミライフ各社が一体となることで、家庭から法人まで幅広い顧客に価値を提供できる体制を整えた。エネルギー供給に加え、住宅設備やリフォームなど建物全体に関わるサービスまで提供領域を広げていく。

「私たちは『家の中まで入れる業者』です。お客さまとの接点を活かしながら、エネルギーだけでなく、さまざまなお困りごとにも応えていきたいと考えています」(中川進弘社長)

サービス会社への進化を支える、20万軒の顧客基盤

サービス会社への転換を目指す一方で、新生シナネンの事業の土台がエネルギーであることは変わらない。なかでも大きな強みとなるのが、LPガス事業を通じて築いてきた約20万軒の顧客基盤だ。LPガス事業は、定期的な点検や機器の交換などにより、顧客と長く関係を築けるという点が特徴だ。

単に商品を販売して終わるのではなく、訪問を通じて暮らしの変化や困りごとに気付ける。その接点こそが、サービス会社への進化を支える原動力といえる。

「LPガスの事業者は、お客さまのご自宅を訪問し、家の中に入ってさまざまな住宅設備を確認することができます。そこで築いてきた信頼関係は、簡単に得られるものではありません。この関係を活かせば、エネルギー以外にもお役に立てることは多いと考えています」(同氏)

人口減少や省エネルギー化が進む中、LPガス市場そのものは縮小が見込まれる。一方で、地域の事業者では後継者不足などを背景に事業承継のニーズが高まっており、同社は顧客の譲受にも取り組んでいる。

市場全体が縮小する中でも、エネルギー事業で築いた信頼を起点に、住宅設備やリフォームなど暮らしに関わる領域へ価値提供を広げ、成長につなげていく。

全国約80拠点を活かし、地域に合わせた価値を生み出す

サービス会社への進化を実現する上で、新生シナネンのもう一つの強みとなるのが、全国約80拠点に広がるネットワークだ。

同社は、この拠点網を単なる営業拠点ではなく、地域ごとの課題に応える「サービス拠点」へと進化させようとしている。

「都市部と郡部では、人口構成も生活環境も、お客さまのニーズも違います。全国一律の戦略を取るのではなく、それぞれの地域に合った形でサービスを展開していくことが大切です」(同氏)

例えば都市部では、大企業では対応しきれない中小企業や個人の細かなニーズに応えながら、住宅設備や建物メンテナンスなど、暮らしや事業を支えるサービスを拡充していく。

一方、郡部では、高齢化が進み、生活を支えるサービスの担い手が限られる地域も少なくない。そこでLPガス事業を軸に地域でのシェアを高め、拠点をさまざまなサービスにつなぐ「ハブ」として機能させる。

エネルギー供給にとどまらず、住まいや暮らしに関する困りごとを幅広く受け止めることで、地域に欠かせない存在を目指す。

「効率化は必要ですが、何でも同じやり方にするつもりはありません。電話での対応を必要とするお客さまもいますし、地域によって求められるサービスの形は違う。お客さまに寄り添うという、当社のDNAは変わらず大切にしていきます」(同氏)

「勝つ」より「勝ち続ける会社」をつくる

統合に向けて約1年をかけて準備を進めてきたものの、新体制が始まると、各社で異なっていた業務や役割を一つにしていく難しさも見えてきた。

「統合して初めて見えた問題もあります。今は一つずつ明らかにし、期限を定めて解決すべき課題へと変えている段階です」(同氏)

だからこそ同社は、統合初年度を目先の成果を追う一年ではなく、「勝ち続ける会社」をつくるための土台づくりの一年と位置付ける。仕事を棚卸しし、役割分担を見直すとともに、DXを進め、社員が本来の業務に集中できる環境を整備。保安と営業の役割を明確にし、それぞれが専門性を発揮できる組織への転換を進める。

あわせて、コーポレート機能や評価制度も見直し、営業だけでなく、会社を支える社員一人一人が力を発揮できる体制を構築。サービス品質についても、「何のために仕事をするのか」という価値観を共有し、誰が担当しても一定水準のサービスを提供できる組織を目指す。

「良い業績は1年、2年出して終わりではなく、何年も続かなければ意味がありません。目指しているのは、一時的ではなく、勝ち続けられる『常勝軍団』です」(同氏)

地域とともに歩む、その先の100年へ

新生シナネンが掲げる新たなミッションは、「世界に誇れる地元をツクる」。この言葉は、経営陣が決めたものではない。グループの将来を担う若手・中堅社員が議論を重ね、生み出した言葉だ。経営陣は当初、「世界」という言葉に驚いたという。しかし若手・中堅社員から、「全国の拠点を活かし、自分たちが地域のハブとなって、街全体に貢献したい」という思いを聞き、その志を会社として形にしていこうと決意した。

「理念を掲げるだけでは意味がありません。一人一人が日々の仕事を通じて、『世界に誇れる地元をツクる』とはこういうことだと実感できる会社にしたい。そして、それが地域への貢献や会社の成長につながっていけばと思っています」(同氏)

地域に暮らす人々から必要とされる企業へ。その挑戦は、次の100年に向けて始まっている。

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シナネン株式会社
SHINANEN Co., Ltd.

東京都品川区東品川1-39-20
https://sinanen.com/

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