100円ショップ業界2位 セリア 【2782・スタンダード市場】

「提供価値」の「可視化」で100円均一貫く
データに基づく“引き算経営”で営業利益率業界トップ

市場規模約1兆1100億円の100円ショップ業界で、大手4社の一角を占めるセリア。近年の原材料・人件費高騰により他社が150円~500円までのミドル・ハイプライス商品を充実させる中、同社はあくまでも「100円均一」にこだわる経営を貫いている。原材料・物流・人件費のトリプル高により、一時は利益率が低下したものの、2025年3月期からは回復基調にある。26年3月期は営業利益が209億6800万円と4期ぶりに200億円を突破した。14年から同社を率いる河合映治社長は、「Color the days(日常を彩る。)」をブランドプロミスに掲げ、「100円の価値を極限まで高めることが当社のアイデンティティ」と話す。
セリア-河合 映治

河合 映治(かわい・えいじ)

社長

1967年9月生まれ、岐阜県出身。同志社大学経済学部卒業後、90年大垣共立銀行入行。2003年セリア入社。同年常務取締役、05年経営企画室長。14年代表取締役社長就任(現任)。

業務のシステム化・デトックス化推進
独自指標「SPI」を商品開発や生産調整にも

▲実用品を超えるおしゃれな商品が特徴

デフレ経済の象徴として1990年代後半から急速に浸透した100円ショップ業界では現在、同社をはじめ、ダイソーを運営する大創産業、キャンドゥ、ワッツの4社でほぼ寡占状態の体制を築いている。同社は売上高7710億円の大創産業に次ぐ業界2位。26年3月期の売上高は2556億9500万円で業界シェア約38%を獲得している。雑貨を中心にデザイン性の高い商品を100円均一で提供し、特に若い女性や主婦に支持されている。

近年、原材料・物流・人件費高で他社がマルチプライス化を進めていくなか、同社はあくまでも「100円均一」を貫いてきた。それでも同社は突出した高い利益率で知られている。大創産業は非公開だが、他2社は1~2%であるのに対し、同社は一時期より低下したとはいえ、今も8・2%と高水準を保っている。

それを支える大きな要因が、早くから積極的に進めてきた「業務のシステム化」だ。この手法は現在に至るまで進められており、河合社長の「100円の価値を極限まで高める」考えに基づいている。それに加え、交通費申請などの間接業務を徹底的に効率化し、経費を削減して「業務のデトックス化」も図ってきた。

売りと買いのポイント
一致すれば価格は一定

同社はジャスダック上場直後の04年に、業界初となる直営全店でのリアルタイムPOSシステムを導入。当初、膨大な種類の商品を扱うため在庫管理をスムーズに行うのが目的だったが、現社長である河合氏は「その先にもっと違う活用方法があると思った」という。

前職でも銀行で顧客企業のデータを元に貸出債権業務のシステム化を行っていた同氏は、その経験を活かし、セリアでも自らシステム化に乗り出す。SPI(セリア・パーチェス・インデックス)と呼ばれる、小売店で使われるPI値(※1)を応用した独自の指標を考案した。

※1 PI値:PIとはPurchase Index(購買指数)の略。レジを通過した客1000人あたりの購買指数で、店舗の規模や客数に関係なく、商品の人気度や顧客の支持率を把握できる

「同じ100円でも商品によって人気があるもの、ないものがあり、さらにそれも毎日変動しています。そこで100円という価格の裏側にある『価値の可視化』をしました。お客さんは価値のあるものを順番に買って、価値のないものが売れ残りますが、値引きをしない100円ショップではこの在庫リスクが非常に大きい。これを逆にすることができたら、業界で最後まで勝ち残れると思ったんです。実は売りと買いのポイントが一致すれば、価格はいつでも一定になることがわかりました」(同氏)

同氏はSPI値をもとに店舗ごとに各商品の日々売れる確率を割り出し、そこから価値が最大化するように、発注数を自動算出する発注支援システムを開発。06年には全店舗に導入した。14年に同氏が社長に就任して以降、システム化はさらに加速した。

発注すべき商品・数量も自動
100円だからこそ高精度

▲全店に配備している発注システム端末「タッチワン」

現在はPOSが集計した売れ筋や在庫情報をもとにアルゴリズムが店舗条件や季節、物流網などを考慮しながら店舗ごとに発注すべき商品や数量を自動抽出。

売上目標もシステムが自動で設定する。近隣に競合他社が出店した場合は、ネット上でシステムが情報を拾い、位置情報などから同社の近隣店舗への影響を予測し、目標数値に自動反映する。また商品企画、生産数の決定にもデータを活用し、仕入れ先であるメーカーの利益率改善にも貢献している。

原材料高騰やインフレなど厳しい環境下でも、同社は大手4社のなかで唯一「全商品100円」を堅持している。

「価格が100円均一だからこそ高精度なシステム化ができました。価格がバラバラ、もしくは高価格だったら難しいと思います。他社さんが300円、500円と値上げしているなかで、他社との差別化にもつながり、セリアに来店していただける機会が増えていますし、競合店の近隣に出店することも可能になっています」(同氏)

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