高収益でニッチトップの化学メーカー 大阪有機化学工業 【4187・プライム市場】

「特殊アクリル酸エステル」で産業に貢献
少量多品種生産で約200種を提供

大阪有機化学工業は、特殊アクリル酸エステルを軸とした高付加価値な化学品メーカーだ。半導体や塗料、化粧品など現代社会に欠かせない材料市場において、独自の存在感を放つ。特に1990年代から開拓した半導体市場向けの電子材料事業は、売上全体の5割近くにまで成長。先端半導体の製造に用いられるArF(フッ化アルゴン)レジスト用原料では世界で7割のシェアを持つ。他にも、自動車用塗料などに用いられる「4─HBA」で世界シェア1位、化粧品用アクリル樹脂は国内シェア1位など、さまざまな分野でニッチトップの座を占めてきた。
大阪有機化学工業-安藤 昌幸

安藤 昌幸(あんどう・まさゆき)

社長

1962年6月生まれ。86年愛媛大学工学部卒業、大阪有機化学工業へ入社。営業として半導体分野の顧客を開拓する。その後、技術本部長や先進技術研究所長などの要職を歴任。2018年常務取締役執行役員、19年取締役専務執行役員、20年代表取締役社長(現任)。

「時代の要請に合わせて
新しいものを作っていく」

同社の強みは、特殊アクリル酸エステルの生産技術において、常にトップレベルを維持してきたことだ。特に多品種少量生産に対応した柔軟な生産体制を備えていることが、様々なニッチ分野でのトップシェアを可能にしている。

同社が得意とする特殊アクリル酸エステルは、一般には見えにくいが身近な社会のそばで使われているものだ。スマートフォンなどのモバイル端末のディスプレイに使われているカラーフィルターの原料、プリンターのインクジェットの表面張力を調整する原料、自動車の汚れをはじき小さなキズを補修する機能を持つトップコート原料。そして、ヘアケア製品で髪を固めたり、ボリュームを持たせたりする機能を与える原料などだ。同社はこの多岐に渡る分野での製品づくりのベースとなるアクリル酸の機能開発で実績を作ってきた。

「我々が長く生き残ってこられたのは、頑固に一つの市場に固執したからではありません。時代の要請に合わせて新しいものを作る。この柔軟性こそが、当社の根幹にあります」と同社の安藤昌幸社長は語る。

10年で売上1・5倍、営利4倍
利益率17%の高収益モデル

同社の事業セグメントは大きく3つ。半導体用原料や表示材料用レジストなどの「電子材料事業」が売上全体のうち46%を占める。塗料用原料やインクジェット用原料といった「化成品事業」は同36・7%。ヘアケア用ポリマーや電子材料用溶剤を含む「機能化学品事業」が同17・3%となっている。

売上高は、前期2025年11月期実績で、362億円と化学品メーカーとしては小ぶりながら、営業利益は61億円で、売上高営業利益率は17%を超す高収益メーカーだ。特に直近10年間では、ArFレジスト用原料など半導体市場向け電子材料の成長によって、売上1・5倍、利益は4倍に伸ばしている。売上高営業利益率も10年前の6・7%から17・1%と、2・5倍以上に高めてきた。

同社は1946年の設立。創業者の鎮目達雄氏が光学用レンズ接着剤「カナダバルサム」の国産化に成功。蒸留や精製技術を培い68年には同社の製品の軸となる特殊アクリル酸エステルの提供を開始。塗料やインキ、粘接着剤原料として、メーカーに供給してきた。

当初は、現在の化成品事業に該当するセグメントのみの売上だったというが、時代の変化とともに製品ポートフォリオを柔軟に変化させてきた。80年代からは化粧品メーカー向けに、ヘアワックスに使う原料を販売し、機能化学品事業を育てた。90年代以降は、液晶ディスプレイ(LCD)用材料を手がけ、95年からは半導体製造分野への展開も開始。2000年代以降は半導体市場に向けた研究と開発に力を入れたことが、現在の高収益体質の礎となった。

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