リユース激戦区・名古屋に本拠
「弱者が勝ち抜くための戦略」
買取王国はここ4年で業績を大きく伸ばしてきた。
2017~22年2月期には6期連続で売上高50億円の壁を乗り越えられずにいた。しかし23年に58億円、24年67億円、25年78億円となり、そして26年に過去最高の93億円で着地した。一方、1億円前後を推移してきた営業利益は、26年に5億円まで伸長し同じく過去最高となった。
22年の社長就任以降、業績を立て直してきた嶋本匡能社長は、同社戦略をこう話す。
「当社は店舗の営業戦略として『狭属性(きょうぞくせい)一番化』を掲げています。我々のような弱者が勝ち抜くためのランチェスター戦略の一つで、他より最低1・3倍の売場と在庫を持てば『ここが一番だ』と認識してもらえるという法則があるそうで、それならウチは同じ地域の競合より2倍を明確な基準にして目指そうと。50着置いている店があればウチは100着にするし、2坪の売場があるなら4坪にする。そうした意図的な差別化を続けてきました」
買取王国が本拠を構える名古屋には、古着や中古品総合店の「セカンドストリート」などを手掛ける業界最大手ゲオホールディングス(2681)、中古ブランド品で業界トップのコメ兵ホールディングス(2780)などもいる。足元の売上高は、ゲオHDが4812億円、コメ兵HDが2217億円。買取王国とは桁が2つも違うほど、スケール差は大きい。
さらにリユース業界全体を見渡せば、節約志向や環境配慮の広がりから中古品ニーズは伸び続け、非上場会社含め競合は数多い。また、奇しくも買取王国の上場年となる13年にはフリマアプリ「メルカリ」が誕生。リアル・ネットとも競争の激しい環境が、10年以上にわたって続いてきたと言える。
そうしたリユース業界の中にいる買取王国は、メンズファッション、ホビー、工具など男性向けに強く、前出の2社とは商材構成も展開エリアも全く異なる。同様に全国展開やM&Aを果敢に推進してきたわけでもない。買取王国のやり方は、ドミナント展開とニッチを極めるという、まさに弱者の戦略だった。
従業員の「好き」を形に
現在の店舗数は延べ87店(FC7店含む)。おおむね7割が東海、3割が関西というエリア構成だ。
主な業態にはメンズ古着や中古ホビーに強い「買取王国」、中古工具専門の「工具買取王国」、中古家具・家電などを扱う「良品買館」、毎週水曜日に売れ残った古着をワンランク値下げしていく「マイシュウサガール」などがある。
「買取王国」では店舗ごとに特徴のある品揃えとしている。ナイキやアディダスなどの限定モデルスニーカー、ストリート・デザイナーズファッション、アメトイ、ミリタリー、食品サンプル…のように、コレクター心理を刺激し、来店理由を明確化させる取り組みを徹底している。
企画はどれも従業員の「好き」を形にする社内公募制から始まる。ネット上に買取専門サイトを立ち上げて仕入れを増やしながら、店内の一角に設けた専門売場に商品を置き、ファンを呼び込んでいくのだ。
「例えばかつて私が店長をしていた大阪・寝屋川の店舗では、『釣り具』に特化しました。私自身が好きで得意なジャンルに絞り、専門売場を作るところから始めました。まずは自らのコレクションを泣く泣く放出し、大型ショーケース1ケース半ほどの在庫を揃え、ブログなどで情報発信を続けました。今でこそ、こうした現場の『好き』にデータ分析を掛け合わせて採算を見つつ、全社に横展開する社内公募制の仕組みになっていますが、原点はそうした泥臭いファンづくりにあります」(同氏)
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