モバイルペイントアプリを世界展開 アイビス 【9343・グロース市場】

アプリ「ibisPaint」が世界で5.5億ダウンロード
ソリューション事業と第3の柱「AI歌声合成」にも注力

アイビスは、指1本で本格的なイラストを製作できる人気アプリ「ibisPaint(アイビスペイント)」を展開し、世界200カ国の若年層スマホ・タブレットユーザーから支持を得ている。一方、国内企業向けに受託開発や技術者派遣を行うソリューション事業も堅調だ。2023年3月には東証グロース市場に上場を果たした。25年12月期の連結売上高は50億500万円、営業利益は12億100万円。25年からは成長分野といわれるAI歌声合成事業にも着手しており、さらなる世界市場への拡大を狙う。
アイビス-神谷 栄治

神谷 栄治(かみや・えいじ)

社長

1973年5月、愛知県生まれ。98年アルモニコス入社。2000年アイビス設立、代表取締役社長(現任)。16年アイビスモバイル代表取締役社長。25年テクノスピーチ取締役(現任)。

モバイル向けに特化し
利用者4000万人超

「ibisPaint」は世界的な人気を持つモバイル向けペイントアプリだ。リリースされた2011年から現在までで、累計ダウンロード数5億5000万、MAU(月間アクティブユーザー)4007万人(25年12月時点)へと成長。その9割が海外ユーザーだ。全世界アクティブユーザー数はグラフィックス&デザインカテゴリで7年連続トップを維持しており、ユーザーのうち「α世代」「Z世代」と呼ばれる25歳未満が約9割を占める。創業者で現社長の神谷栄治氏は語る。

「多くのペイントソフトやアプリはPC用に設計されていて、操作ボタンやコマンドの数がとても多い。ibisPaintは最初からモバイル向けに特化し、PC並みの高機能を、ボタンの数をできるだけ減らし、操作しやすいよう提供することにこだわりました。今スマホやタブレットで絵を描き始める小学校高学年から中学生の人は、ほとんどが当社のアプリを選んでいます」

ユーザーは、アプリに表示される広告を見ることで、基本的な機能を無料で使用できる。また作品や制作過程をコミュニティサイトやSNSなどで共有できることも、ユーザー数拡大の背景となっている。広告と、高機能を求めるプレミアム会員からの月額課金(サブスクリプション契約)が、同社にとっての収益源となる。

コロナ禍の巣ごもり需要を
追い風にユーザー倍増

神谷氏は、小学3年生の頃からプログラムを作るようになり、様々なソフトや無料ツールをリリースしていた。大学時代にはインターネットでのホームページ公開に欠かせないFTP(ファイル転送)ソフトを日本で初めて開発、そこで得た収益を元手に、卒業後の00年、アイビスを創業した。同時にシステムの受託開発とIT技術者の派遣も開始。そして創業後5年ほどで発表したガラケー向けのインターネットブラウザ「ibisBrowser」は、有料アプリとして各携帯キャリアに採用されヒット商品になるも、07年にiPhoneが発売されたことで、ガラケー向けアプリは大きな変化を迎える。神谷氏は語る。

「ibisBrowserは、ガラケーでPCのホームページを見るような、いわゆるギークな人向けのアプリでした。でもiPhoneにはブラウザのSafariが積まれるので、需要がなくなる。だから08年のiPhone日本上陸とともに、ガラケー向けビジネスを止めようと思ったんです」

同社ではガラケー向けに代わりiPhone向けアプリを開発し、他社に先駆けていち早くリリースした。現在同社の柱の1つであるibisPaintも、その頃世に出したうちの1本だという。

「当時はiPad第1世代が発表され、先発のペイントアプリもすでに10本以上出ていました。ibisPaintは後発のアプリでしたが、イラストを描いている工程を動画にする機能、そしてイラストや動画などの投稿作品やコメントなどを共有できるソーシャル機能の2つに、新しさがありました。また当時、国内の開発者は海外向けのアプリを出していませんでしたが、ペイントアプリに地域性はないと思ったので、最初から日英2カ国語で作りました」(同氏)

リリース後5年間は、ibisPaint単体で黒字化はならなかったが、システムの受託開発とIT技術者の派遣が経営を下支えしてきた。17年に黒字化してからは海外向けにibisPaintの広告を打ち、知名度を拡大。そして世界的なコロナ禍による巣ごもり需要が追い風となり、ibisPaintは短期間に複数倍のアクティブユーザーを獲得した。

「ibisPaint」とは

世界4000万人が使うモバイルペイントアプリ

「ibisPaint」はスマートフォンやタブレット、PCで本格的なイラストが制作できるドローイング(お絵かき)アプリ。ダウンロードすると豊富な描画機能を無料で使用できる。サブスク課金のプレミアム会員になると、さらに多様な機能が使用可能だ。

作画工程を動画にする機能を持ち、作成した動画は同社のコミュニティサイト「ibisPaint.com」や、SNSでのシェアが可能。「ibisPaint.com」には世界中からたくさんの作品が投稿されており、ユーザー同士のコラボレーションも活発に行われている。

主な特長

・47,000種類以上の豊富なブラシ
・23,000点以上の素材
・80種類以上の高品質なフィルタ
・充実した漫画機能
・2,100種類以上のフォントで文字入れ
・様々なお助け機能で簡単にイラスト作成
・アニメーション機能/クラウドストレージ/AI機能

有料会員限定

続きを閲覧するには会員登録が必要です。
すでに会員の方は
ログインして閲覧してください。

ログイン 会員登録 SEARCH