「Happiness」を起点に据えた
新中計が始動
社会インフラを支えるエンジニアリング企業である八洲電機は、2026年度からスタートする新たな中期経営計画において、「Happiness」を中核に据えた経営方針を打ち出した。これは、従業員一人ひとりの幸せを起点に企業価値の向上を図ろうとするものであり、従来の成果配分型の考え方とは一線を画すアプローチである。
これまで同社は、利益創出を軸に業績を伸ばし、その成果を社員へ還元することで組織力を高めてきた。一方で新中計では、「幸せであるからこそ、仕事への意欲が高まり、結果として業績の持続的な成長につながる」という逆転の発想を採用する。すなわち、業績向上の“結果”としての幸せではなく、企業成長の“起点”として従業員の幸福度を位置づけることで、中長期的な競争力の強化を目指す構えだ。
その背景には、「会社に行きたくなる会社をつくりたい」という経営層の強い思いがある。人生の大半の時間を占める仕事の充実が、人生そのものの充実につながるという考えのもと、従業員満足度やエンゲージメントの向上を経営戦略として明確に位置づけていく方針だ。
「人財投資」の蓄積が生んだ
思想の変化
こうした思想の転換は、決して突発的なものではない。利益重視の経営によって企業体質の強化を図ってきた同社は、その過程で「人財への投資」の重要性にも着目し、働く環境の整備を着実に進めてきた。
たとえば、年間総労働時間の削減や有給休暇取得率の向上といった職場環境の改善に加え、産業保健スタッフの拡充による健康相談体制の強化、健康診断受診の推進や運動機会の創出、禁煙外来治療費の全額補助など、こころとからだの健康を支える施策を継続的に実施している。こうした取り組みの積み重ねは、男性育休取得率87.5%や平均勤続年数16.2年といった具体的な数値にも表れており、2019年より健康経営優良法人にも認定されている。
また、採用活動においても変化が見られる。従来は人事部門が中心となっていた採用活動を見直し、営業や技術部門を含めた全社横断型の採用プロジェクトを2024年に発足。現場社員が主体的に関与することで、入社後のミスマッチ防止や定着率の向上につなげている。
このように、社員を大切にする経営を実践してきた同社が、次なるステージとして掲げたのが「Happiness」を起点とする成長モデルである。従業員の幸せが企業の持続的な発展を支えるという思想が、新たな中期経営計画の根幹に据えられている。
八洲電機(3153・P)
本社所在地:東京都港区新橋
事業内容:電気・電子機器の販売、産業設備の設計施工
主要セグメント:プラント事業、公共・設備事業、交通事業
2025年3月期売上高:約660億円 2025年3月期経常利益:約53億円
上場市場:東京証券取引所プライム市場
サステナビリティ:健康経営優良法人認定
従業員数:約1,000名(連結)









