狭小地や変形地・駅遠地への空間ソリューション フィル・カンパニー 【3267・スタンダード市場】

活用が難しい土地に独自の付加価値創出
コロナ禍の低迷期を経て経営改革を推進

駐車場の上部空間に建物を建設し、テナントを誘致して土地に新たな価値を生む「空中店舗」で知られるのが、フィル・カンパニーだ。同社はコロナ禍での業績低迷を経て、2023年2月から第3の創業期として大胆な経営改革を推進。「まちのスキマを、『創造』で満たす。」というパーパスのもと、事業の全国拡大や組織改革を進めてきた。27年11月期に、売上高135億円、営業利益12億円を目指す。
フィル・カンパニー-外山 晋吾

外山 晋吾(とやま・しんご)

社長

1972年3月生まれ、兵庫県出身。日本公認会計士。94年に京都大学経済学部卒業後、95年に監査法人トーマツ(現:有限責任監査法人トーマツ)、97年にデロイト・トウシュ・ロサンゼルス事務所入所。以降エディオン取締役、リクルートホールディングス、オートバックスセブン、トラスト・テック(現:オープンアップグループ)執行役員、ONGAESHIHoldingsを経て、2023年にフィル・カンパニー執行役員副社長。25年に代表取締役社長就任(現任)。

「請負受注」と「開発販売」の2軸で構成
強みは一気通貫バリューチェーン

「駐車場の上部に建物」原点

▲駐車場の上部空間に建物を建設(フィル・パーク事業)

フィル・カンパニーは、都市部における狭小地、駅から離れた未利用地、あるいは駐車場の上部空間など、既存の不動産開発では「活用が難しい」とされてきた土地に独自の付加価値を生み出している。

事業展開スキームは、土地オーナーから相談を受けて建設を請け負う「請負受注」と、自社で土地を取得・開発し、完成物件を投資家などへ販売する「開発販売」の2軸で構成。スキーム別の売上高構成比は、請負受注が65%、開発販売が30%、その他管理収入が5%となる(2025年11月期実績)。

同社は05年設立。創業者である髙橋伸彰取締役会長をはじめとする創業メンバーが、駐車場の上部空間に着目したことが原点にあり、同年に主力の「フィル・パーク事業」を始動した。そして16年に、当時企業単体では最少人数の13名でマザーズ上場を果たした。

「かつては駐車場上の空中店舗という点が際立っていましたが、現在は『30~100坪程度の狭小地・変形地を、いかに商業テナントとして成立させるか』という課題解決に主眼を置いています」(外山晋吾社長)

同社の最大の強みは、企画開発から設計、建設、テナント誘致、そして入居後の管理に至るまでを自社グループで完結させる「一気通貫のバリューチェーン」にある。通常、不動産開発には企画会社、設計事務所、ゼネコン、仲介会社などが介在する。しかし、同社は全工程を一気通貫で提供することで、利益の最大化と、オーナーやテナントのニーズに合致した柔軟な空間設計を両立させている。

この体制は、参入障壁としても機能している。大手デベロッパーにとっては同社が得意とする30~100坪規模の商業ビルは、大規模施設と同様の手間がかかる割に利益が薄く、採算が合いにくい市場だ。同社はこの市場に特化し、独自のノウハウを積み重ねることで唯一無二の立ち位置を確立した。25年11月現在、全国の累計棟数は279棟に達している。

郊外にガレージハウス展開

▲1階にガレージを設けたメゾネットタイプの賃貸住宅(プレミアムガレージハウス事業)

もう一つの成長の柱が「プレミアムガレージハウス事業」だ。これについては、同事業を手掛けていたバリュープランニング(現:プレミアムガレージハウス)を19年に完全子会社化し事業に組み入れた。

同事業は、駅から遠く、一般的なアパート・マンションには適さない郊外エリアで展開。1階に車2台分のガレージ、2階に住居スペースを設置したメゾネットタイプの賃貸ガレージハウスを企画・建設している。車やバイクの愛好家やアトリエを保有したいアーティストなどから人気を集め、入居率は98・6%と高い水準を維持。独自の入居待ちシステムへの登録者数は9788件を数える。同事業でも「請負受注」「開発販売」の両スキームで展開し、関東を中心に278棟を建設済みだ。

同社の25年11月期業績は、売上高が前期比14・6%増の82億3300万円で過去最高を更新。営業利益は同38・8%増の5億8800万円で、上場来初めて各四半期で黒字を達成した。

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