長野で流通・運輸・観光を中核に事業展開 アルピコホールディングス 【297A・スタンダード市場】

流通事業のキャッシュを運輸・観光へ投資
「信州の価値創造」で地域と共に成長

長野県松本市に本社を置くアルピコホールディングスは、スーパーマーケット、鉄道・バス・タクシー、観光、不動産など複数の事業を展開。創業から100年以上にわたり信州に根ざした事業を営み、地域の生活・観光インフラを支えている。2024年にスタンダード市場に上場した。25年に発表したグループ初となる長期ビジョンでは、2035年のありたい姿に「『楽しさ・ときめき』を創出し、付加価値を高めることで持続的な地域の発展に貢献している企業グループ」を掲げ、地域と共に成長を目指す。
アルピコホールディングス-佐藤 裕一

佐藤 裕一(さとう・ゆういち)

社長

1960年6月生まれ、長野県出身。84年東北大学卒業、八十二銀行入行。2006年松本電気鉄道(現:アルピコ交通)出向。18年八十二銀行常務取締役。22年アルピコホールディングス代表取締役社長(現任)。

売上規模は1000億円超え
スーパーやバス・タクシー県内最多

アルピコホールディングスはその名が示すとおり、日本アルプスを背景とする長野の地で、スーパーマーケットや鉄道、バスなど地域に密着した事業を展開する。売上規模は1000億円を超えており、長野でその名を知らない人はいないほど県を代表する一社だ。

同社の基盤事業は、売上の7割以上を占める流通事業。長野県内で食品スーパー「デリシア」52店舗、「業務スーパー ユーパレット」9店舗の計61店舗を運営する。県内には他のスーパーが複数あるが、同社はドミナント戦略により県内トップの店舗数を誇る。加えて「移動スーパーとくし丸」40台、「デリシアネットスーパー」18拠点、セルフ型無人決済店舗1店舗を展開。さらに総菜に特化した新業態「デリシアミールズ」も4店舗オープンしており、マルチチャネル化を推進している。

■流通事業のイメージ

▲スーパーマーケット「デリシア」外観

▲スーパーマーケット「デリシア」内観

祖業の運輸事業では、鉄道、バス、タクシーを運行し、地域の足として住民の暮らしを支えている。鉄道事業では松本駅と新島々駅間を走る「上高地線」を運行。バス・タクシー事業では、バス399台、タクシー408台といずれも県内最多の車両を保有している。東京松本間の高速バスや、上高地や白馬などへ向かう観光路線バスが収益に貢献している。

■運輸事業のイメージ

▲上高地線

▲観光路線バス

観光事業は、松本市内5カ所、諏訪市内1カ所の宿泊施設を運営するほか、ゴルフ場、レジャー施設などの運営、リゾート事業、旅行代理店業などを展開する。またネクスコから委託し、県内のサービスエリア4施設の運営も行っている。同社の強みは、この流通・運輸・観光の3事業を中核とした、多角的かつバランスのとれた事業ポートフォリオを構築している点だ。2025年3月期の連結業績は、営業収益(売上高)1038億3600万円、営業利益34億1200万円と、ともに過去最高を更新した。3事業のセグメント別営業収益構成比は、流通74%、運輸13%、観光11%。

■観光事業のイメージ

▲上高地ルミエスタホテル

一方、各事業の営業利益率は、流通2・1%、運輸12%、観光4・1%だった。
「流通事業は営業利益率が低いのですが、キャッシュを生むキャッシュカウになっています。流通事業で稼いだキャッシュを、利益率の高い運輸事業や、観光事業に振り向けています。新型コロナの時は2期連続赤字で苦しみましたが、流通事業で生まれたキャッシュで有利子負債の返済も着実に進んでいるので、そういう意味ではグループ経営が上手く回っていると思います」(佐藤裕一社長)

なお、26年3月期は営業収益1075億円、営業利益36億円の見通しとなっている(記事校了時点では2026年3月期決算発表前のため予想を記載)。

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