「エンジニアリング力が強み」
国内外で300社超と取引
日本に存在する半導体工場の数は、世界一となる約100拠点。その多くが20年以上前に建設された、「レガシー工場」と呼ばれている。そこで作られているのが、非先端ながらも、世界的規模で需要が高い「レガシー半導体」だ。
「例えばIoT製品で言えば、リモコンのスイッチ、電気自動車をはじめとする車載器関連、工作機械などありとあらゆるものがあります。全ての機器で最小・高性能の半導体が求められているわけではありません。先端半導体に注目が集まりがちですが、レガシー半導体への需要は底堅く継続しており、当社はそのマーケットで独自のポジションを確立しています」(関真希取締役)
こうしたレガシー工場では、調達・製造において課題が山積していると関氏は話す。
調達では、旧型設備が多いため部品の確保や取り寄せが困難となっており、豊富な業務経験やネットワークを持つベテラン担当者への業務依存度が高いとされる。
製造では、IoT化の進行により半導体装置への需要が旺盛だが、エンジニア人材不足、設備保全における属人化の常態化、品質トラブルや納期遅延が課題に挙がっている。
TMHは、東芝の大分工場にて調達を行っていた榎並大輔氏(同社社長)が「半導体業界が抱えるさまざまな問題を解決したい」として、2012年に設立した会社だ。同社では半導体工場の稼働を支援するためのトータルソリューションを提供。国内ほぼ全ての半導体メーカーと直接取引を行っている。全ての取引社数は国内外で300社超に及ぶ。
24年11月期実績は、売上高60億1700万円、営業利益3億2300万円。売上高の85%を占めるのが、エンジニアリング力を活用した装置販売サービスだ。同サービスでは国内外のサプライヤーから装置の調達を行い、半導体工場に向けて装置の解体、搬出、設置、移設先に合わせたプロセスチューニング(装置の最適化)などを一気通貫で手掛ける。不要になった装置の買取、売却支援も行っている。
「半導体装置は単純に右から左へ販売できるようなものではありません。装置自体が大きな部屋ほどあり、危険を伴うものでもありますので、解体やチューニングには技術が必要です。当社はベンチャーではありますが、半導体大手出身で20年以上の経験を持つ50~60代の技術営業などが活躍しています。エンジニアリング力が我々の強みの1つです」(同氏)
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