シナネンホールディングス 【8132・プライム市場】

「エネルギー会社」からの脱却
新生シナネンが挑む
地域価値創造

シナネンホールディングスは2026年4月、主力事業4社を統合し、選択と集中を推進。新たな体制を始動した。石油類・ガス・電力などのエネルギー供給を主力としてきた同社は現在、「エネルギー」「メンテナンス」「モビリティ」の3事業を軸に、地域密着型のサービス企業への変革を進めている。これまで進めてきた事業多角化や地域会社戦略から、グループ横断で地域を“面”として捉え直す。同社が掲げるのは、「地域で最初に相談される会社」への進化だ。4社統合によって始まった“新生シナネングループ”の狙いを追った。
シナネンホールディングス-中込 太郎

中込 太郎(なかごめ・たろう)

社長

1973年生まれ。1997年、品川燃料株式会社(現・シナネンホールディングス株式会社)入社。2010年、ミライフ株式会社の営業統括部長に就任。2012年、株式会社インデスの代表取締役社長に就任。その後、株式会社ユテックスやタカラビルメン株式会社、シナネンアクシア株式会社の代表取締役社長を歴任。2024年、シナネンホールディングス株式会社の代表取締役社長CEOに就任。2026年4月、代表取締役社長執行役員に就任(現任)。

統合ありきではない。見据えるのは100周年のその先

シナネンHDは2026年4月、主力事業4社を統合し、新たな体制へ移行した。シナネンを存続会社として、ミライフ西日本、ミライフ、ミライフ東日本を統合。あわせて事業セグメントを再編し、エネルギー、メンテナンス、モビリティの3事業を柱とする新体制をスタートさせた。

エネルギー事業
LPガスや灯油、電力などの供給を通じて、地域の暮らしと産業を支える。

メンテナンス事業
建物維持管理などを展開し、建物のライフサイクルを支える。

モビリティ事業
シェアサイクルなどを展開。人と街をつなぎ、地域の課題解決に貢献。

「統合だけが先に注目されがちですが、私たちは統合ありきで改革を進めてきたわけではありません。2027年に創業100周年を迎える中で、100年以降のシナネングループをどう次の世代へ引き継ぎ、持続的な成長を実現していくのか。それが経営における最大のテーマでした。事業ポートフォリオの見直しやミッション・ビジョン・バリューの策定、ロゴの改定、人事制度改革なども含め、グループ全体の変革を進めています。今回の統合は、その実現に向けた重要な一歩です」(中込太郎社長)

背景には、同社が長年進めてきた事業変革の歴史がある。シナネンの原点はエネルギーインフラだ。戦後のエネルギー革命にもいち早く対応し、1950年代には石油・LPガス販売を開始。現在では灯油の国内流通量約10%、LPガス取扱量国内3位を誇る、日本屈指の総合燃料商社として、長年にわたり地域の暮らしを支えてきた。

一方で、2000年代以降は人口減少や脱炭素化、エネルギーシフトといった社会構造の変化を見据え、建物維持管理をはじめとする非エネルギー領域へ進出。事業の多角化を進めながら、新たな収益基盤の育成に取り組んできた。その後、2015年には持株会社体制へ移行し、各地域会社がそれぞれの地域特性に合わせて独自の成長戦略を推進してきた。

各事業はそれぞれ成長を続けてきた一方、地域との接点は各社ごとに分かれていた。そこで同社は、各社の顧客基盤や事業機能を結び直し、グループ全体の成長につなげるべく統合を実施した。新生『シナネングループ』には今、次の成長フェーズに向けた役割が期待されている。

2027年度の創業100周年に向けて、新ロゴを制定

SとNをモチーフに、無限の可能性や価値の循環、磁石のように異なる強みが引き寄せ合う姿を表現。新たな価値を生み出し続ける想いを込めた。

エネルギー会社からサービス会社へ

新生『シナネングループ』が目指すのは、サービス会社への変革だ。従来はエネルギー、建物維持管理、モビリティの各事業が個別に地域と向き合ってきた。しかし今後は、それらを横断的につなぎ合わせながら地域全体へ新たな価値を提供していく。その根底にあるのが、「地域を面で捉える」という発想だ。

「これまでのLPガス事業は、地域の中で個々のお客様との商売が中心でした。一方で私たちは長年、地域に拠点を構え、顔の見える商売を続けてきました。その強みを活かしながら、ガスだけでなく建物全体との接点を増やしていきたい。清掃や修繕、緊急対応など、建物を起点に地域との関係を広げていくことで、地域の中で取引する建物の密度を高めていく。それが私たちの考える『地域を面で捉える』ということです。品質にこだわり、人づくり、仕組みづくり、付加価値づくりを進めながら、持続的な成長モデルを構築していきます」(同氏)

同社が重視しているのは、商品を販売することではなく、地域の暮らしや建物に寄り添いながら、お客様の困りごとに気づき、必要なサービスを提供することだ。

「私は社員によく『気くばり、目くばり、心くばり、配れるものは何でも配ろう』と言っています。例えば給湯器の点検で訪問した際も、見るべきなのは給湯器だけではありません。雨どいや外壁など住まい全体に目を向け、お客様の困りごとに気づくことが大切です。その積み重ねが、新たな価値提供につながると考えています」(同氏)

こうした戦略を支えるのが、全国約80拠点に広がる地域基盤である。エネルギーインフラを長年支え、保安を含め地域の暮らしを守ってきた歴史は、同社ならではの強みだ。加えて、多様な顧客接点を持つことで、地域の課題に対して幅広い提案が可能になっている。こうした取り組みを通じて、同社は地域との関係性を“点”から“面”へと広げていく。

“最初に声がかかる会社”を目指して

「Be the First Company to Contact」をビジョンに掲げた同社が目指すのは、困りごとが生じた際、真っ先に相談される存在だ。

「私たちが目指しているのは、『困ったらまずシナネンに相談しよう』と思っていただける会社です。その時に大切なのは、特定の社員個人ではなく、会社そのものへの信頼です。これまではグループ各社でブランドやロゴも異なっていましたが、今回それらを統一しました。地域のどこへ行ってもシナネンのロゴを見かける。そんな存在になれば、心理的な距離も縮まっていく。エネルギー、メンテナンス、モビリティの3事業が地域の中を走り回りながら、会社としての存在感を高めていきたいと考えています」(同氏)

背景にあるのは「サービスは無限に生まれる」という考え方だ。同社では現在、ガス点検や総合建物メンテナンス、シェアサイクルを通じて地域との接点を広げている。しかし、それらはあくまで入口に過ぎない。日々の接点の中でお客様の困りごとに気づき、新たな価値を生み出していく。その積み重ねによって、地域における存在価値をさらに高めていく考えだ。

■ミッション・ビジョン・バリュー
地域のお客様の暮らしを支え、建物を支え、移動を支え、地域の価値を高めてまいります

こうしたビジョンの実現に向け、同社が重視しているのが社員のマインドセット改革である。長年エネルギー供給に携わってきた社員にとって、「サービス会社になる」という変化は決して小さくない。今回、新たに業務フローを見直し、2026年4月には人事制度改革に伴い評価制度も刷新。「サービス会社」への転換に向け、社員一人ひとりの行動変容を後押しする体制を整えた。目指すのは、地域や顧客の変化に自ら気づき、行動できる組織だ。

人口減少やエネルギーシフトなど、社会構造が変化する中でも、同社はそれを縮小均衡ではなく、新たな価値創造の機会と捉える。100周年はゴールではない。その先の持続的成長に向け、新生『シナネングループ』は新たな挑戦を始めている。

シナネンホールディングス株式会社
(SHINANEN HOLDINGS CO., LTD.)

https://sinanengroupe.co.jp/

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