産業用ゴム資材、ゴム引布大手 藤倉コンポジット 【5121・プライム市場】

“複合化技術”で多様な製品を製造
ゴルフ用シャフトが利益をけん引

藤倉コンポジットは、ゴムや布、金属、樹脂、カーボンなど異種素材をコンポジット(組み合わせる)し、幅広い製品を作り出すメーカーだ。独自の技術で、自動車向け部品や防水救命いかだなどを製造。またゴルフ用カーボンシャフトは、世界中のツアープロに幅広く支持され、高い知名度を誇る。2024年には東日本大震災で被災した福島・小高工場を再稼働し、カーボンシャフトの増産や半導体製造装置向けなど高付加価値商品の製造を開始。“稼ぐ力”の拡大に努める。
藤倉コンポジット-森田 健司

森田 健司(もりた・けんじ)

社長

1958年5月生まれ、埼玉県出身。81年藤倉ゴム工業(現・藤倉コンポジット)入社。2008年取締役。11年管理本部長兼同人事総務部長兼内部統制室長。12年常務取締役、営業本部長兼大阪支店長。16年代表取締役社長。24年代表取締役社長執行役員(現任)。

ゴム・布・金属などの素材を組み合わせ
EVの火災延焼防止など多分野で活用

同社はゴムや布、金属などの素材を組み合わせて製品を作り出す“複合化技術”に強みを持つメーカーだ。現在は産業用資材、スポーツ用品、引布加工品の3セグメントを中心に展開。国内に営業4拠点及び製造4拠点を持つほか、米国や欧州、中国、韓国、ベトナムにも拠点を構える。 2025年3月期の売上高は前期比9・4%増の413億2500万円、営業利益は同32・6%増の48億700億円でいずれも過去最高。営業利益率は同2・0ポイント増の11・6%となった。

売上の約58%を占める産業用資材セグメントでは、工業用精密ゴム部品、空圧制御機器、電気絶縁材料及び電気接続材料などを製造する。中でも高い割合を持つのが、自動車向け部品。同社の製品は吸気や排気、燃料制御に欠かせない部品として多数使用される。

「当社のゴム部品は、空気や燃料などの流体を制御するために使われます。国産のほとんどのガソリン車のエンジン周りには、当社が製造した部品が10点程搭載されています。もちろん、EV向けにもゴム素材を提供しています。EVは電池が原因で火災が発生する危険がありますが、熱で大きく膨張する当社のゴム素材を使用すれば、火災延焼防止や安全性向上が期待できます」(森田健司社長)

同セグメントではそのほか、ガス・水道などのインフラ向けや住宅設備向けのパッキンや制御弁、水栓金具なども提供している。

また同セグメントの制御機器分野では、動力である空気の圧力や流れを精密に制御するシリンダやレギュレータ(安定した圧縮空気を供給する装置)、各種弁などを製造・販売する。摩擦抵抗が少なく超精密制御が可能な同社のシリンダは、世界的半導体メーカーにも納入。半導体向けと同様に精密さが要求されるメディカル分野でも、酸素濃縮器や麻酔装置、透析装置などに同社の製品が要所要所に採用される。

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