世界で唯一の総合すべり軸受メーカー 大同メタル工業 【7245・プライム市場】

自動車エンジン用半割すべり軸受で世界トップ
船舶やデータセンターなど産業向けに事業構造転換

大同メタル工業の主力製品である「すべり軸受」は、自動車エンジン用半割軸受がグローバルシェア38%、舶用低速エンジン用が同75%で、いずれも世界トップシェアを誇る。同社では2025年5月に新中期経営計画「BridgetoDaido 2030」を発表。これまでは売上の半分以上を自動車用エンジン軸受が占めていたが、今後は船舶や発電機などの産業用の売上比率を拡大し、事業構造を大きく転換していく方針だ。(シェアは2024年暦年ベース、同社推定)
大同メタル工業-古川 智充

古川 智充(ふるかわ・ともみつ)

社長

1962年1月生まれ、福岡県出身。84年大阪産業大学工学部卒業後、大同メタル工業に入社。2009年大同メタルコトールAD(モンテネグロ)社長、13年大同メタルメキシコS.A.DE C.V.(メキシコ)社長、17年エヌデーシー社長、19年大同プレーンベアリング社長、23年グローバル生産設備管理ユニット長、23年取締役を経て、24年代表取締役社長兼COOに就任(現任)。

前期に過去最高売上となる1363億円
世界の自動車メーカーと取引、船舶でも展開

同社の「すべり軸受」は、自動車や船舶、建設機械、農機などのエンジンをはじめ、風力・水力・火力発電・オイル・ガスプラントといったエネルギー関連、発電機関連(陸上発電やデータセンター向けなど)、工作機械、フードマシーン、新幹線、橋梁、エアコン、オフィスチェア、釣り具のリールといった身近なものまで、幅広い用途で使用されている。

すべり軸受は、軸と軸受の間に油膜を介在させる製品や、油がない環境下でも使えるドライベアリングと呼ばれる製品がある。また、形状もエンジン用に主流で使われる軸受を上下に組み付けて使う半割タイプや、円筒タイプなどがある。軸受の大きさについても、指先に乗る小さなサイズから1mを超えるサイズまであり、同社は世界で唯一あらゆる産業分野に対応する「総合すべり軸受メーカー」である。

同社はそのほかに、EV自動車の部品にも適用されている環境製品・アルミダイカスト品、自動車のエンジンやトランスミッションなどを支える精密金属加工部品、潤滑技術を応用した食品・化粧品用のポンプ製品などを製造・販売している。

自動車エンジン用半割すべり軸受は、国内の全自動車メーカーはもちろん、海外含めほぼ全メーカーと取引があり、合計26社で採用されている。同製品の世界シェアは38%とトップシェアにある。また舶用低速エンジン用すべり軸受も同75%で世界首位。舶用・産業用中高速エンジン用すべり軸受においても、世界上位の26%のシェアを占めている(シェアは2024年暦年ベース、同社推定)。

25年3月期の売上高は、北米自動車分野の堅調な需要推移、船舶の需要増と拡販活動、円安影響により、前期比5・9%増の1363億300万円で過去最高を更新。営業利益は、大型船舶向けの増収影響や、アルミダイカスト製品の利益改善、継続的な原価改善や採算管理の強化により、同16・5%増の70億9100万円となった。

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