9万種以上のラインアップ
流通網通じ幅広い分野に提供
同社は、配管内の流体(水、空気、石油、ガスなど)を流したり、止めたり、流量をコントロールする機能を持つ「流体制御機器」の総称である「バルブ」を製造・販売する会社だ。売上高の8割強を占めるバルブ事業では、ビルや住宅など建築設備、水道・給水設備、ガス・エネルギー施設、石油精製、コンビナート施設、半導体製造設備など幅広い分野にバルブを提供している。
「ラインアップ数は9万種以上、バルブの口径サイズは3~4000㎜まで、流体使用温度範囲はマイナス196℃から800℃までという多種多様なバルブを扱っています」(河野誠社長)
同社は、国内唯一の「総合バルブメーカー」を標榜している。河野氏が理事を務める日本バルブ工業会には約180超の会員企業があるが、専門市場に特化したバルブメーカーが多いという。
「比べて当社は、様々な材質や形状の多彩なラインアップをあらゆる分野に提供することで大きく成長してきました。鋳物からの一貫生産と網の目のような流通網、それに加えて、幅広い市場に向けて販売しているため、一方の市場が悪化しても、リスクヘッジができます。実際、2001年から赤字になったことは一度もありません」(同氏)
グループ内に鋳造設備を持ち、素材の選定から鋳造、加工、組み立て、検査までの一貫体制で製品作りを行っていることも、同社にとって大きな武器となっている。また、日本全国をカバーする代理店販売網を確立し、きめ細かいサービスを提供しているのも強みのひとつだ。
第2の柱である伸銅品事業は、バルブの素材となる黄銅棒の製造・販売を行う事業だ。黄銅とは、銅と亜鉛の合金であり、黄銅製の材料を用いた「黄銅棒」は各種機械や建築資材などに幅広く使用されている。
伸銅品事業では付加価値の高い製品を手掛けているが、売上高に対する利益率の向上が課題だと河野社長は話す。
「この事業はロールマージン(加工費)で利益を出す構造であり、材料価格の変動や為替の影響を受けやすい。今後はリサイクル関係での利益創出や、業界内での得意分野の連携を進め、売上高300億円に対して15億~20億円の利益を目指します」(同氏)
同社の24年12月期の業績は、売上高1720億4200万円(前期比3・1%増)、営業利益142億2000万円(同3・9%増)となった。事業セグメントはバルブ事業、伸銅品事業、その他の3つ。売上高構成比はバルブ事業が81・1%を占め、伸銅品事業が17・4%、ホテル事業などのその他が1・5%となった。
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