国内唯一の総合バルブメーカー キッツ 【6498・プライム市場】

社内組織を市場別ビジネスユニット制に改編
第2期中計で成長投資刈り取り更なる飛躍へ

キッツは、流体制御機器である「バルブ」製造の世界大手だ。1951年に創業し、70年超の歴史を経て現在はグループ会社35社、売上高1720億円(2024年12月期)、国内38拠点、海外32拠点を有するグローバル企業に成長した。21年3月に就任した河野誠社長は、グループ一体化を目指して様々な組織改革を遂行。22~24年度の第1期中期経営計画では成長分野に積極投資し、24年12月期は業績過去最高を更新した。25年12月期からは第2期中期経営計画がスタート。最終年度となる27年12月期には売上高2000億円、営業利益200億円、ROE11%以上を目指す。
キッツ-河野 誠

河野 誠(こうの・まこと)

社長

1966年3月生まれ、東京都出身。88年キッツ入社。2016年執行役員、経営企画本部長。19年取締役、常務執行役員、バルブ事業統括本部長に就任。21年3月代表取締役社長、社長執行役員に就任。24年3月取締役、代表執行役社長に就任(現任)。

9万種以上のラインアップ
流通網通じ幅広い分野に提供

 

同社は、配管内の流体(水、空気、石油、ガスなど)を流したり、止めたり、流量をコントロールする機能を持つ「流体制御機器」の総称である「バルブ」を製造・販売する会社だ。売上高の8割強を占めるバルブ事業では、ビルや住宅など建築設備、水道・給水設備、ガス・エネルギー施設、石油精製、コンビナート施設、半導体製造設備など幅広い分野にバルブを提供している。

「ラインアップ数は9万種以上、バルブの口径サイズは3~4000㎜まで、流体使用温度範囲はマイナス196℃から800℃までという多種多様なバルブを扱っています」(河野誠社長)

同社は、国内唯一の「総合バルブメーカー」を標榜している。河野氏が理事を務める日本バルブ工業会には約180超の会員企業があるが、専門市場に特化したバルブメーカーが多いという。

▲バルブ素材などを扱う「伸銅品事業」

「比べて当社は、様々な材質や形状の多彩なラインアップをあらゆる分野に提供することで大きく成長してきました。鋳物からの一貫生産と網の目のような流通網、それに加えて、幅広い市場に向けて販売しているため、一方の市場が悪化しても、リスクヘッジができます。実際、2001年から赤字になったことは一度もありません」(同氏)

グループ内に鋳造設備を持ち、素材の選定から鋳造、加工、組み立て、検査までの一貫体制で製品作りを行っていることも、同社にとって大きな武器となっている。また、日本全国をカバーする代理店販売網を確立し、きめ細かいサービスを提供しているのも強みのひとつだ。

第2の柱である伸銅品事業は、バルブの素材となる黄銅棒の製造・販売を行う事業だ。黄銅とは、銅と亜鉛の合金であり、黄銅製の材料を用いた「黄銅棒」は各種機械や建築資材などに幅広く使用されている。

伸銅品事業では付加価値の高い製品を手掛けているが、売上高に対する利益率の向上が課題だと河野社長は話す。

「この事業はロールマージン(加工費)で利益を出す構造であり、材料価格の変動や為替の影響を受けやすい。今後はリサイクル関係での利益創出や、業界内での得意分野の連携を進め、売上高300億円に対して15億~20億円の利益を目指します」(同氏)

同社の24年12月期の業績は、売上高1720億4200万円(前期比3・1%増)、営業利益142億2000万円(同3・9%増)となった。事業セグメントはバルブ事業、伸銅品事業、その他の3つ。売上高構成比はバルブ事業が81・1%を占め、伸銅品事業が17・4%、ホテル事業などのその他が1・5%となった。

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