切断・穿孔工事の業界首位 第一カッター興業 【1716・スタンダード市場】

独自の工法で道路などを「切る」専門工事会社
新中計で85億円投資、新規事業を開拓・拡張へ

第一カッター興業は、道路や橋梁といった社会インフラの維持修繕に関わる工事事業などを行う。社会インフラの改修・補修において、ダイヤモンド工具などを用いてコンクリート建造物を切断・穿孔(穴をあけること)する工事に特化した事業を展開し、業界首位の実績を有する。2025~27年6月期の中期経営計画では、3カ年で85億円の成長投資を実施。一時的な利益率低下を見込むが、10年後の36年6月期に売上高510億円、営業利益率17%を目指す。24年9月に就任した安達昌史社長に事業戦略を聞いた。
第一カッター興業-安達 昌史

安達 昌史(あだち・まさし)

社長

1978年2月14日生まれ、茨城県出身。2000年城西国際大学経営情報学部卒業。01年第一カッター興業入社。19年管理本部長、21年取締役に就任。24年9月代表取締役社長に就任(現任)。

切断・穿孔分野に特化した工事のプロ
業界屈指の組織力で圧倒的シェア築く

▲︎維持修繕工事

同社は、「切る」「洗う」「剝がす」「削る」といった切断・穿孔に関わる独自の技術で社会インフラの維持修繕を担う専門工事会社のパイオニアだ。鹿島建設や大林組、大成建設などの大手ゼネコンや地元の建設会社など元請業者から発注を受け、社会インフラの整備や維持補修における切断・穿孔工事を専門的に請け負う。年間顧客数は約5000社に上り、年間数万件の工事を手掛ける。価格にして数万円台の小規模工事から1億円超の大規模工事まで、多岐にわたる。

2025年6月期の売上高は202億2800万円、営業利益は16億4700万円。事業セグメントは、切断・穿孔工事事業とビルメンテナンス事業の2つで構成される

切断・穿孔工事事業は、売上比率9割超を占める主力事業だ。内訳は、公共投資関連が約6割、民間設備投資関連は約4割となる。

▲︎空港での滑走路グルービング

「公共投資関連では、高速道路のリニューアル工事が約半分を占め、劣化したコンクリートの切断や除去などを行います。空港ではグルービングといって、滑走路の舗装路面に細かな溝を切り、降雨時のすべりを防止したり排水を向上させたりして、路面の排水性能を改善します。民間向けは、化学工場や石油プラントの設備補修工事などを手掛けています」(安達昌史社長)

▶︎民間向けの化学工場や石油プラントの設備補修工事

切断・穿孔工事の専門工事を手掛ける競合は国内に約1800社あるが、そのほとんどが地場の中小企業となる。同社は、業界で唯一上場企業として全国展開している圧倒的大手だ。

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