新設では新幹線軌道スラブが好調
高速道路の床版取替も大型受注
同社の「ビーアールホールディングス」という社名は、もともと「橋」に由来している。英語の「Bridge」から「Br」を取った略語(造語)だ。同社が創業以来の強みとしてきた橋梁工事をイメージしたもので、実際同社がこれまでに携わった橋梁は1万8000橋を超える。
現在は、河川、洋上橋梁の他、鉄道、道路の高架橋など幅広く受注しており、特に近年は高速道路の高架橋床部分にあたる「床版」や鉄道のレール下に敷設するコンクリート製の道床となる「軌道スラブ」の設置などで豊富な実績を持つ。本社は広島に置くが、グループ会社化によって全国展開。日本全国のインフラ工事に幅広く携わっている。
同社のもうひとつの強みがプレストレスト・コンクリート(PC)工法による、豊富な施工実績と高い技術力だ。
プレストレスト・コンクリートとは、緊張材によって両側から圧縮力をあらかじめ加えたコンクリートのこと。コンクリートの弱点であるひび割れの防止と高い強度・長寿命化を実現した工法だ。同社は特にPC橋梁に強みを持つ。
プレストレスト・コンクリート(PC)工法とは
ひび割れを発生させない特殊なコンクリートで、橋梁や上下水・ガスの容器構造物(タンク)及び鉄道マクラギなどに用いられている。高強度かつ高耐久なコンクリートを用いることで、鉄筋コンクリートでは実現不可能な構造物の構築や、構造物の長寿命化が図れる。
2025年3月期の売上高は前期比1・3%増の407億7000万円、営業利益は19億5300万円。セグメントで見ると、新設橋梁事業と補修・補強事業から成る建設事業が全体売上の84%を占める。その受注内容は大型案件が多く、かつ日本全国に拡がりを見せている。
「新設の受注実績は現在、エリア別では北海道が進展しています。北海道新幹線の高架橋、軌道スラブを請け負っています。今年の新規受注を含め、総額100億円を超えています。次が近畿エリアで、新名神高速道路などの工事が堅調です」(藤田公康社長)
さらに今、高度経済成長期に建設された橋梁・高速道路などの補修・補強工事のニーズが急速に高まっており、全体売上の約5割まで伸びている。同社が目下、多くの実績を上げているのがNEXCOの高速道路の床版取替工事だ。劣化した鉄筋コンクリート(RC)床版をより耐久性の高いPC製床版に更新している。一方、新設工事においては、新幹線向けが好調だ。
「NEXCOさんの案件は、高速道路の床版取替工事でも、30億~50億円の大型工事が増えています。また新幹線の軌道スラブ(枕木に相当する路盤上に線路を敷設)でも、50億円規模の受注があり、現在もグループ内でJV(ジョイントベンチャー)を組んで進めている案件があります」 (同氏)
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