産業機械メーカーと化学品商社の二刀流 巴工業 【6309・プライム市場】

構造改革で利益5年で2倍、5期連続増収増益
新事業に注力し連結売上高700億円目指す

巴工業は1941年の創業以来、「機械メーカー+専門商社」というハイブリッド型ビジネスモデルで事業展開してきた。業績は、2021年10月期より5期連続増収増益中、とりわけ営業利益は5年で約2倍に伸びた。23年に就任した玉井章友社長は、並行する2セグメントの構造改革を手掛け、その成果が徐々に表れている。28年度を最終年度とする新中期経営計画では、海外事業の拡大と、次の柱と位置づける廃熱活用発電での事業基盤確立を目指す。
巴工業-玉井 章友

玉井 章友(たまい・あきとも)

社長

1957年2月生まれ、山口県出身。80年日本大学理工学部卒業後、日本国土開発に入社。エルケム・ジャパンを経て、2000年に巴工業入社。11年同社取締役化学品本部副本部長、巴物流代表取締役社長に就任。21年巴工業専務取締役機械本部長。23年代表取締役社長に就任(現任)。

異分野の2事業を同時並行で展開
25年10月期は過去最高業績を更新

同社は「機械製造販売事業」(以下機械事業)と「化学工業製品販売事業」(以下化学品事業)の2セグメントで事業を展開する。市場分類では機械に属している同社だが、実は化学品事業が売上利益ともに全体の7割を占める。

化学品事業は、合成樹脂、化学工業薬品、無機材料などの輸出入と販売を行っている。取り扱い商材は4万点以上。総合商社型ではなく、ニッチ領域で高い競争力を有する商材に特化した専門商社であることが特徴だ。

主軸品は、超高層ビル向けの超高強度コンクリートに使われる「シリカフューム」、「半導体向け材料・原材料」、プラスチック難燃剤の「三酸化アンチモン」など、他社が参入しにくい高付加価値商材。開発途上国をはじめとした、競合他社とは異なる地域での商材発掘、輸入販売を行っているのが大きな強みだ。

▲無機物のシリカフューム(左上)は建築など向け、三酸化アンチモン(左下)は自動車など向けに使われている。半導体市場向け部材のIMCポート(右上)、CVD-SiC(右中)、PG加工品(右下)

「たとえば三酸化アンチモンは、非常に細かい粉末なので、取り扱うには防塵マスクや換気設備が必要です。しかし当社は粉塵が立たない形状の商品を日本で初めて輸入しました。こういった『ニッチリッチ』と呼ばれる高付加価値商材や製品を、当社は数多く取り扱っています」(玉井章友社長)

デカンタ型を50カ国に納入

売上・利益の3割を占める機械事業では、遠心分離機を中心とした各種分離機器の製造・販売を展開している。

▲遠心分離機。左に小型機、右に大型機。ヒトの大きさで、機械の大きさが分かる

中でも主力は「デカンタ型」と呼ばれる遠心分離機で、同社がパイオニアだ。下水・排水、石油化学向けを中心に、世界約50カ国に1万8000台以上を納入している。 特に塩ビ(PVC)製造過程に使用する遠心分離機のシェアは日本で9割、塩ビ生産量世界首位の中国でも同じく9割に及ぶ。

「当社の遠心分離機は1分間に数千回転し、しかも止めることがほとんどない過酷な環境で使われています。だから売りっぱなしではなく、必ずメンテナンスも請け負います。それが長期的な収益につながってきました」(同氏)

デカンタ型遠心分離機

遠心分離機とは、高速で回転する力を使って混ざったものを分ける機械のこと。同社の遠心分離機は食品、化学、環境、エネルギーなど幅広い分野で活用されている。デカンタ型や円筒型、ディスク型などがある。中でもデカンタ型は代表的で、連続処理や大容量処理に優れている。

2025年10月期の売上高は593億6500万円(前期比13・9%増)、営業利益は53億5200万円(同13・8%増)となり、全ての項目で過去最高を達成した。

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