製品の「振動耐久性」を評価する装置
高度な技術力で独自ポジションを築く
自動車や電化製品、人工衛星、農作物、化粧品などあらゆる製品は、生産され寿命を終えるまでに何らかの振動環境にさらされる。その中でも安全上、重要な部品・製品は、発売前に振動への耐久性をテストすることが定められている。IMVは、こうした振動試験に使われる装置を開発・製造する会社だ。
2024年9月期の売上高は153億4000万円、営業利益は18億4700万円(営業利益率は12・0%)。売上高を分けると、振動試験装置の開発などを行う「振動シミュレーションシステム(DSS)事業」が71%、顧客に代わって製品の品質評価試験などを行う「テスト&ソリューションサービス(TSS)事業」が21%、そして地震監視装置などを手掛ける「メジャリングシステム(MES)事業」が9%となる。
売上高が大きいDSS事業では、あらゆる状況を考慮した様々な振動試験装置を展開している。主な顧客は、トヨタ自動車やAUDI、ソニー、パナソニック、京セラ、キリン、江崎グリコ、JAXA、AIRBUSなど多岐にわたる。
世界中で様々な産業に使われる振動試験装置だが、IMVによると同業のプレイヤーは比較的少ない。国内では同社以外にエミック(非上場)のみで、海外でも中国や欧米に数社あるのみだという。この背景には、振動試験装置を扱うには複雑かつ高度な技術が必要という点がある。
「振動試験装置の中には磁石とコイルが入っているので、まず電気力学の知識が必要となります。さらに、機械が激しく動作するので機械工学のほか、物理、熱力学も求められます。その上コントロールソフトウェアなども入っているので、結果として様々な技術体系が組み合わさった複雑な装置となっているのです。非常に“面倒くさい”機械であるにも関わらず、その市場規模は比較的小さい。そのため、大手メーカーさんなどが参入してきませんでした。当社としては、恵まれた市場と言えます」(柿原正治取締役)
同社は、こうした特性を持つ振動試験装置で70年以上技術を研鑽してきた。現在、国内シェアは6割で業界トップ。世界でも、売上高では中国企業に次いで2位となる。
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