成長率高い「加工食品用原料等」
乳化剤など食品用改良剤が主力
理研ビタミンの2025年3月期業績は、売上高955億8200万円(前期比4・5%増)、営業利益87億2400万円(同6・9%減)。セグメントは「国内食品事業」「国内化成品その他事業」「海外事業」の3つがあり、売上高比率は国内食品事業が67%、国内化成品その他事業が8%、海外事業が25%を占める。
主力の国内食品事業は、「家庭用食品」「業務用食品」「加工食品用原料等」の3分野で構成される。
家庭用食品では「ふえるわかめちゃん」のように海藻食品や、ドレッシング、和風調味料など家庭向け商品を製造・販売する。
業務用食品では、エキス・調味料、海藻類、ドレッシングなどを産業給食・学校給食・外食産業に提供する。
加工食品用原料等では、加工食品メーカーに乳化剤などの食品用改良剤を提供する。また医薬品・健康食品メーカー向けに、ビタミンや機能性食品用原料などのヘルスケア素材を幅広く展開する。
3分野の過去10年間(16~25年3月期)における年平均成長率を見ると、加工食品用原料等が家庭用食品や業務用食品と比較して高い数値となっている。
その加工食品用原料等のリード役を果たしているのが、「食品用改良剤」だ。乳化剤、色素、ビタミンEなど、食品に添加することで機能を付与する。いずれも天然物を由来とし、乳化剤はパーム油など天然油脂、色素はクチナシの果実やパプリカの果実など、ビタミンEは菜種や大豆などの植物を原料に製造する。
特に主力製品となるのが乳化剤だ。乳化とは、水と油のように本来混ざり合わないものが均一に混合している状態のこと。乳化剤は、乳化を容易にしたり、乳化を安定に保ったりする効果を持つ物質だ。
「当社の乳化剤はパンやケーキ、飲料、豆腐、麺など幅広い加工食品に使われます。例えば、缶コーヒーでは乳化剤を用いることで、ミルクとコーヒーの成分が分離するのを防ぎ、品質の安定化に貢献しています。さらに、澱粉の老化を抑えてパンの硬化を防ぐ、ケーキをふっくら仕上げる、豆腐製造時の泡を取り除くなど、食品加工における様々な課題に対応する機能を備えています。乳化剤は、食品のおいしさを長持ちさせるだけでなく、製造工程の効率化や歩留まりの向上にも寄与します。これにより、廃棄ロスの削減にもつながり、持続可能な食品生産が実現できます」(望月敦社長)
また、国内化成品その他事業では、梱包材やビニールハウスに使う素材を開発し提供している。
例えば、梱包材に使われるプラスチックフィルムには、同社の食品用改良剤の技術が生かされている。食品改良剤を使うことで、万一食べてしまっても害のない包材を開発。消費者側にとっての安心・安全性を担保する。このように同社では、コアの事業を軸に物事を展開していく方針を非常に大事にしているという。
海外事業では、同社が最も得意とする乳化剤をはじめとした「食品用改良剤」を主に販売している。中国、アジア(中国以外)、北米および欧州でほぼ3分の1ずつの割合となっている。マレーシア、中国には既に生産拠点がある。
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