人口7000人の小商圏型モデル
食品・日用品で来店頻度を向上
同社は、東北6県を中心にドラッグストア「薬王堂」を409店舗(2025年5月末時点)運営している。東北エリアでは、北海道を拠点に全国展開する大手のツルハホールディングスがシェアトップだが、同社は本拠地の岩手で最多の114店舗を展開する、東北屈指のリージョナルドラッグストアチェーンだ。25年2月期の業績は、売上高1519億5700万円(前期比6・8%増)、営業利益54億8100万円(同5・2%増)と過去最高で着地した。
ウエルシア、ツルハ、マツキヨといった1兆円企業の大手が強い勢力を持つドラッグストア業界の中にあって、薬王堂は「小商圏バラエティ型コンビニエンス・ドラッグストア」として知られてきた。商圏人口7000人で成立するモデルを目指し、医薬品や化粧品から日用品や食品、衣料品に至るまで、生活必需品を揃え、ローコスト経営により低価格で提供。店舗は約300坪以上、駐車場台数40~50台の広さを基本に、県庁所在地などの都市部ではなく、大手と競合しない郊外や山間部など、人口密度が低いエリアにも出店し、シェアを獲得している。
商品別構成比は、医薬品や健康食品など「ヘルス」が17・3%、化粧品やヘアケアなど「ビューティ」が13・5%、洗剤や衣料品、ペット用品など「ホーム」が21・6%、冷凍食品や生鮮食品を含む食品及び酒類の「フード」が47・6%(前頁円グラフ参照)。同業の大手企業では、粗利率の高いヘルス&ビューティを主力商品とするケースが多く、その場合、来店頻度は月に2~3回程度と少ない。だが、同社では購買頻度の高い食品や日用品の構成比を上げ、顧客の来店頻度を高めている。上場している薬王堂ホールディングス(HD)の常務で、事業会社薬王堂の社長を務める西郷孝一氏はこう語る。
「ポイントカードユーザーで月に平均4~5回、ロイヤルカスタマーだと月に平均7~8回の頻度で来店されます。薬王堂は極めてシンプルな普通のドラッグストアです。販促物も最低限にし、過剰な接客も行わないので、お客様はストレスなく自分が欲しいものだけ買って帰ることができます」(西郷孝一常務取締役)
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