中高価格帯の介護付有料老人ホーム112カ所展開 チャーム・ケア・コーポレーション 【6062・プライム市場】

介護付有料老人ホーム経営で高収益
新規開設・M&A注力、30年に売上1000億円へ

人口減少と高齢化が進む日本社会において、年々拡大しているのが介護マーケットだ。しかし、介護事業者の多くは人手不足の問題や公的保険制度依存への限界などから、収益力を低下させている。その中でも、独立系の介護サービス事業者として、創業以来着実に売上を伸ばし、高収益を上げてきたのがチャーム・ケア・コーポレーションだ。創業者の下村隆彦会長は、もともと建設会社を経営していたが、還暦を過ぎた62歳の時に同社を設立。7年で上場を果たし、現在に至る。82歳の今も、代表取締役会長CEOとして経営の第一線に立つ。
チャーム・ケア・コーポレーション-下村隆彦

下村隆彦(もむら・たかひこ)

会長兼CEO

1943年6月生まれ、高知県出身。大阪工業大学工学部卒業。66年岡組に入社。69年下村建設入社、73年同社代表取締役。2004年チャーム・ケア・コーポレーション(現)代表取締役社長に就任。08年下村建設取締役会長(現任)。24年チャーム・ケア・コーポレーション代表取締役会長兼CEOに就任(現任)。

“介護付”に集中、112ホーム運営

▲御殿山弐番館の外観

同社の2025年6月期の売上高は466億7300万円、経常利益は40億2400万円だった。20年6月期と比べると、過去5年間で売上高は約2・4倍、経常利益は約2・2倍と大きく伸ばしている。

主力事業は、介護付有料老人ホームの運営だ。26年2月末時点の運営ホーム数は112で、居室数は7567室。近畿圏で55施設4107室、首都圏は57施設3460室と東西でほぼ二分する。

▶︎チャームプレミアグラン「︎御殿山弐番館」では部屋の最高月額利用料は300万円を超す

各ホームの大きさは、立地にもよるが、1施設60~80室で3~4階建ての物件が多い。同社はこれらホームの企画から運営・管理までを一貫して行うが、施設の約9割は、土地・建物ともに法人や地主などのオーナーが所有する。

特徴的なのは、オーナーに大企業が多いことだ。大和ハウスやヒューリック、三菱地所レジデンスといった不動産業系の企業のほか、JR西日本、阪急電鉄、山陽電鉄などの関西の電鉄会社、そして首都圏でも京王電鉄、東京メトロなどからも運営を受託している。

ここ数年は、毎年10ホームほどを新規で開設している。25年6月期は、M&Aでの取得を含め14ホームを新規開設した。同社の強みは案件情報の入手から事業化決定までのスピード感だという。

▲チャームプレミアグラン・チャームプレミアシリーズにはコンシェルジュを配置している

下村隆彦会長が話す。
「この場所が介護施設として適正な場所なのか、しっかりと収益を出せるのか、ここなら何室できて、どのくらいの月額利用料が適切なのか、それをすぐにはじいて、いけると思ったら即時に返事を出します。競合した場合、他社さんが1カ月~2カ月かかっているところ、当社は早ければ1日~2日でもすぐ答えを出します」

また一般的に、ホームは開設してもすぐ入居者が決まるとはなかなかいかず、その間は赤字になってしまう。できる限り早期に入居率を高めることが鍵になるが、この点も同社の強みだという。

「新規開設のホーム入居率が90%以上になるのは、2年が目安ですが、黒字化はもっと早いです。1年過ぎたら大体70~80%になってくるので、そこで黒字になります」(同氏)

介護市場は関連も含めると100兆円へ

社会の急速な高齢化によって、介護市場は急拡大しており、介護保険による公的介護で12兆円、さらに関連市場も含めると10年後には100兆円マーケットになるという試算(みずほ銀行調べ)もある。現在65歳以上の「高齢者」の数は3600万人に達するが、そのうち「要介護」の支援を受けている人は700万人。その他、要介護予備軍といえるフレイル、さらにプレフレイルは計2100万人に及ぶという。

2000年に介護保険制度がスタートして以降、SOMPO、ベネッセ、学研をはじめとする大手企業や新興企業も含めて、多数の企業がこのマーケットに参入している。
特に参入企業が多いのは訪問介護やデイサービスなど非施設型で、上場企業にはセントケア、ツクイ、ケア21など。有料老人ホーム運営では、大手のベネッセのほか、シダー、アズパートナーズなどがある。

中高価格帯・介護付に特化
保険報酬に頼らない運営

同社は“施設型”の介護事業の中でも、特に「介護付有料老人ホーム」に特化した経営を行ってきた。

「選択と集中ですね。創業の時から介護付有料老人ホームに焦点を絞っています。それが一番、売上・利益が上がるビジネスモデルだからです。介護付有料老人ホームの場合は、入居してもらえれば介護報酬は100%いただけるのです」(同氏)

介護付有料老人ホームは、食事・入浴・排泄介助など包括的な介護サービスを24時間体制で提供する介護施設だ。暮らしている場所で手厚い介護サービスを受けることができる点が、入居者にとってのメリットだ。運営事業者としては、定額の介護報酬により安定的な収入を見込むことができる。

一方住宅型有料老人ホームは、必ずしも24時間体制の介護サービスを備えているわけではない。入居者は、自身に必要な分だけ介護サービスの利用契約を行う形だ。運営事業者が受け取る介護報酬も、定額とはいかない。

介護付有料老人ホームの開設・運営にあたっては都道府県の指定を受ける必要があり、参入障壁が高いビジネスとなっている。その点で同社は創業時からここに特化して、実績をあげてきたことが強みとなっている。

また介護事業を営みながらも、介護保険報酬への依存度が低い経営を行っていることも、同社の特徴だ。在宅介護のビジネスの特徴は、その収入のほとんどを介護報酬でまかなっていることだが、同社においては、その介護保険報酬を上回るのが、保険外収入にあたる家賃や食費などの月額利用料だ。同社の標準的な事業モデルでは、売上高に占める月額利用料が6割、介護報酬が4割となっている。月額利用料の金額はホームによって幅があるが、高価格のホームになるほど、売上高に占める月額利用料の割合が大きくなる。

同社が運営するホームの中には、月額利用料が100万円、なかには300万円といった高級タイプもある。当然、こうした物件は介護保険外の収入が大半を占め、その分、収益性も高くなっている。

月額300万円の高級ホームも運営

同社のホームには4つのブランドがある。月額利用料が20万~30万円の「チャーム」、30万~50万円の「チャームスイート」、50万円超の「チャームプレミア」、100万円超の「チャームプレミアグラン」だ。

ホーム数がいちばん多いのはチャームスイートで、首都圏・近畿圏合わせて46ホーム。チャームが40ホーム、チャームプレミアが12ホームと続く。チャームプレミアグランは首都圏のみに5ホーム。東京都品川区に立つ「チャームプレミアグラン御殿山弐番館」は月額利用料が最も高い部屋で344万円。こうした高級路線のホームを手がけるようになったのは、2014年の首都圏への進出がきっかけだったという。

その際、取引先の金融機関から紹介を受けたのが、ヒューリックだった。ヒューリックが土地を取得し施設を建設、同社がそれを借りて運営する形をとった。ヒューリックの建てる施設のエリアや建物のグレードは高く家賃も高かったため、同社の既存ホームより月額利用料も高額に設定することとなった。その後も首都圏の電鉄会社やデベロッパーがオーナーとして一等地にホームを建てるケースが多く、運営ホームの高級化が進んでいったという。

▲チャームのパブリックスペース例

▲チャームスイートのパブリックスペース例

▲チャームプレミアのパブリックスペース例

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