“介護付”に集中、112ホーム運営
同社の2025年6月期の売上高は466億7300万円、経常利益は40億2400万円だった。20年6月期と比べると、過去5年間で売上高は約2・4倍、経常利益は約2・2倍と大きく伸ばしている。
主力事業は、介護付有料老人ホームの運営だ。26年2月末時点の運営ホーム数は112で、居室数は7567室。近畿圏で55施設4107室、首都圏は57施設3460室と東西でほぼ二分する。
各ホームの大きさは、立地にもよるが、1施設60~80室で3~4階建ての物件が多い。同社はこれらホームの企画から運営・管理までを一貫して行うが、施設の約9割は、土地・建物ともに法人や地主などのオーナーが所有する。
特徴的なのは、オーナーに大企業が多いことだ。大和ハウスやヒューリック、三菱地所レジデンスといった不動産業系の企業のほか、JR西日本、阪急電鉄、山陽電鉄などの関西の電鉄会社、そして首都圏でも京王電鉄、東京メトロなどからも運営を受託している。
ここ数年は、毎年10ホームほどを新規で開設している。25年6月期は、M&Aでの取得を含め14ホームを新規開設した。同社の強みは案件情報の入手から事業化決定までのスピード感だという。
下村隆彦会長が話す。
「この場所が介護施設として適正な場所なのか、しっかりと収益を出せるのか、ここなら何室できて、どのくらいの月額利用料が適切なのか、それをすぐにはじいて、いけると思ったら即時に返事を出します。競合した場合、他社さんが1カ月~2カ月かかっているところ、当社は早ければ1日~2日でもすぐ答えを出します」
また一般的に、ホームは開設してもすぐ入居者が決まるとはなかなかいかず、その間は赤字になってしまう。できる限り早期に入居率を高めることが鍵になるが、この点も同社の強みだという。
「新規開設のホーム入居率が90%以上になるのは、2年が目安ですが、黒字化はもっと早いです。1年過ぎたら大体70~80%になってくるので、そこで黒字になります」(同氏)
介護市場は関連も含めると100兆円へ
社会の急速な高齢化によって、介護市場は急拡大しており、介護保険による公的介護で12兆円、さらに関連市場も含めると10年後には100兆円マーケットになるという試算(みずほ銀行調べ)もある。現在65歳以上の「高齢者」の数は3600万人に達するが、そのうち「要介護」の支援を受けている人は700万人。その他、要介護予備軍といえるフレイル、さらにプレフレイルは計2100万人に及ぶという。
2000年に介護保険制度がスタートして以降、SOMPO、ベネッセ、学研をはじめとする大手企業や新興企業も含めて、多数の企業がこのマーケットに参入している。
特に参入企業が多いのは訪問介護やデイサービスなど非施設型で、上場企業にはセントケア、ツクイ、ケア21など。有料老人ホーム運営では、大手のベネッセのほか、シダー、アズパートナーズなどがある。
中高価格帯・介護付に特化
保険報酬に頼らない運営
同社は“施設型”の介護事業の中でも、特に「介護付有料老人ホーム」に特化した経営を行ってきた。
「選択と集中ですね。創業の時から介護付有料老人ホームに焦点を絞っています。それが一番、売上・利益が上がるビジネスモデルだからです。介護付有料老人ホームの場合は、入居してもらえれば介護報酬は100%いただけるのです」(同氏)
介護付有料老人ホームは、食事・入浴・排泄介助など包括的な介護サービスを24時間体制で提供する介護施設だ。暮らしている場所で手厚い介護サービスを受けることができる点が、入居者にとってのメリットだ。運営事業者としては、定額の介護報酬により安定的な収入を見込むことができる。
一方住宅型有料老人ホームは、必ずしも24時間体制の介護サービスを備えているわけではない。入居者は、自身に必要な分だけ介護サービスの利用契約を行う形だ。運営事業者が受け取る介護報酬も、定額とはいかない。
介護付有料老人ホームの開設・運営にあたっては都道府県の指定を受ける必要があり、参入障壁が高いビジネスとなっている。その点で同社は創業時からここに特化して、実績をあげてきたことが強みとなっている。
また介護事業を営みながらも、介護保険報酬への依存度が低い経営を行っていることも、同社の特徴だ。在宅介護のビジネスの特徴は、その収入のほとんどを介護報酬でまかなっていることだが、同社においては、その介護保険報酬を上回るのが、保険外収入にあたる家賃や食費などの月額利用料だ。同社の標準的な事業モデルでは、売上高に占める月額利用料が6割、介護報酬が4割となっている。月額利用料の金額はホームによって幅があるが、高価格のホームになるほど、売上高に占める月額利用料の割合が大きくなる。
同社が運営するホームの中には、月額利用料が100万円、なかには300万円といった高級タイプもある。当然、こうした物件は介護保険外の収入が大半を占め、その分、収益性も高くなっている。
月額300万円の高級ホームも運営
同社のホームには4つのブランドがある。月額利用料が20万~30万円の「チャーム」、30万~50万円の「チャームスイート」、50万円超の「チャームプレミア」、100万円超の「チャームプレミアグラン」だ。
ホーム数がいちばん多いのはチャームスイートで、首都圏・近畿圏合わせて46ホーム。チャームが40ホーム、チャームプレミアが12ホームと続く。チャームプレミアグランは首都圏のみに5ホーム。東京都品川区に立つ「チャームプレミアグラン御殿山弐番館」は月額利用料が最も高い部屋で344万円。こうした高級路線のホームを手がけるようになったのは、2014年の首都圏への進出がきっかけだったという。
その際、取引先の金融機関から紹介を受けたのが、ヒューリックだった。ヒューリックが土地を取得し施設を建設、同社がそれを借りて運営する形をとった。ヒューリックの建てる施設のエリアや建物のグレードは高く家賃も高かったため、同社の既存ホームより月額利用料も高額に設定することとなった。その後も首都圏の電鉄会社やデベロッパーがオーナーとして一等地にホームを建てるケースが多く、運営ホームの高級化が進んでいったという。
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