小型電池の高付加価値化に注力 マクセル 【6810・プライム市場】

マイクロ一次電池事業を村田製作所から譲受
「高信頼の小型電池領域」にリソースを投下

近年、独自の「アナログコア技術(※)」を軸とした事業の選択と集中を推進しているマクセル。同社はこのほど、村田製作所との間でマイクロ一次電池事業を譲受する株式譲渡契約を締結したと発表した。同社は今後、中核事業であるエネルギーセグメントにおいて、「高信頼の小型電池領域」にリソースを集中する方針で、今回の事業譲受はその一環にあたる。大手電池メーカーがこぞって二次電池に注力する中、なぜ今あえて一次電池に成長投資を行うのか。買収の経緯と今後の戦略について聞いた。
※アナログコア技術:混合分散(まぜる)・精密塗布(ぬる)・高精度成形(かためる)の3つであり、電池をはじめとするマクセル製品の開発に不可欠な技術)

 

25年度中に株式100%取得
技術と販売チャネルを統合

今回マクセルが譲り受けるのが、村田製作所のマイクロ一次電池事業だ。同事業は村田製作所が2017年にソニー(現ソニーグループ)から譲受した電池事業の一部にあたり、40年以上の実績がある。対象製品はコイン形二酸化マンガンリチウム(CR)電池、酸化銀(SR)電池、アルカリボタン(LR)電池の3製品。村田製作所が新会社を設立し同事業を吸収、マクセルが25年度中に株式を100%取得する予定だ。同事業の直近の売上高100億円規模、営業利益率10%程が、26年度以降にマクセルの業績に反映されることになる。

今回譲受する製品

同社は現在取り組む「中期経営計画MEX26」において、事業の選択と集中を推進しており、今回の事業譲受もその一環にあたる。これを契機に中核事業であるエネルギーセグメントにおいて、「高信頼の小型電池領域」をコアに、大きな成長を実現させたい考えだ。

全固体電池により新市場・用途を創出

MEX26期間中の成長投資額350億円のうち、今回の取引には80億円を投じる。一方で、23年には収益性の改善が困難な角形リチウムイオン電池の生産を終了させた。同事業のリソースを移管し、今後は一次電池の成長加速や、次世代エネルギーデバイスとして注目を集める全固体電池の拡大を図っていく。

「マイクロ一次電池事業は、我々としても長い実績とお客様からの信頼があります。村田製作所とは技術と販売チャネルで異なる部分がありますので、統合によるシナジー効果は大いに期待できます」(辻野充経営戦略本部長)

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