ベルトコンベヤ部品の国内トップ JRC 【6224・グロース市場】

ソリューション営業で現場の課題を解決
M&A活用し事業領域広げ売上・利益とも増加

JRCは製鉄所や発電所、セメント工場などの現場で用いられる「屋外用ベルトコンベヤ部品」の製造・販売を主に手掛ける国内トップメーカーだ。1961年創業の同社は、元々競合の少ないベルトコンベヤ部品に特化し、安定した収益を得ていたが、浜口稔氏が2014年に社長に就任後、拡大路線へと転換。積極的なM&A戦略により事業領域を広げた。26年2月期の売上高は5年前の約70%増となる136億6300万円、営業利益は同2.1倍の17億2800万円を見込む。今後も売上と利益を確実に伸ばし、早期にプライム市場への上場を目指している。
JRC-浜口 稔

浜口 稔(はまぐち・みのる)

社長

1964年12月生まれ、大阪府出身。87年、JRCの前身である浜口鉄工に入社。96年取締役就任。中国合弁会社の董事長などを経て、2011年副社長就任。14年代表取締役社長就任(現任)。17年吉艾希商事(瀋陽)貿易有限公司執行董事(現任)。24年5月JRC C&M代表取締役会長(現任)、9月高橋汽罐工業取締役(現任)。

更新・リプレイス率高く安定収益
代理店と協業し現場訪問強化

同社の事業セグメントは、コンベヤ、環境プラント(2025年2月期にコンベヤ事業から分離)、ロボットSIの3つ。主力は、売上比率7割を占めるコンベヤ事業だ。

同事業では製鉄所や発電所、採石場などで使われる屋外用ベルトコンベヤに使われる「ローラ」や「プーリ(コンベヤの滑車)」などを製造しており、国内シェアはトップの約5割。製品納入企業は約1万3000社に上る。

浜口稔社長によれば、同社のコンベヤ事業の強みは2つあるという。1つ目は、コンベヤ部品は交換頻度が高いこと。屋外ベルトコンベヤは、過酷な環境で使用される場合が多いため、トラブルが発生しやすい。

「例えば主要部品である『ローラ』は、特に厳しい環境では数カ月で交換が必要になります。交換需要による更新・リプレイス率は86%と高く、安定したリカーリング収益を実現しているのです」(浜口稔社長)

顧客のトラブルを未然に防ぐ

2つ目は、顧客の現場の課題や困りごとを解決する「ソリューション営業」だ。ベルトコンベヤは、運搬物の付着やベルトの蛇行、荷こぼれ、落鉱、摩耗など様々なトラブルが発生しやすい。そこで同社社員がエンドユーザーを直接訪問し、点検や改善提案をして顧客の課題を解決する。

「コンベヤは搬送の現場で重要な役割を担っていて、コンベヤに何か不具合が起こると生産性が下がります。実はこの問題が非常に多い。コンベヤが止まってしまう事態を避けるために、当社社員が現場に赴き、ベルトコンベヤのプロとして未然にトラブルを防ぐよう提案します」(同氏)

現在、ソリューション売上高比率は約2割。今後は同比率をさらに高めていく方針だ。

「ただ、全国に顧客が1万3000社あるのに対して当社の営業と技術は約40人と、現場を訪問できる件数が限られているのが現状です。そこで全国の販売代理店との協業でソリューション営業を展開しています。現在、3000社の代理店のうちの約100社と提携し、定期的な現場訪問を進めるようにしています」(同氏)

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