総合不動産 シーラホールディングス 【8887・スタンダード市場】

シーラテクノロジーズとクミカが経営統合
ストック収益積み上げで超長期の安定成長目指す

2025年6月、東京・神奈川で不動産事業・クラウドファンディング事業を手掛けるシーラテクノロジーズと、埼玉中心に不動産開発・建築・不動産販売事業を展開するクミカが経営統合を行い、シーラホールディングスが誕生した。新たな経営体制により経営基盤の強化を果たした同社では、30年5月期に総資産1000億円を目指し、ストック収益拡大を中心に据えた成長戦略を描いている。
シーラホールディングス-杉本 宏之

杉本 宏之(すぎもと・ひろゆき)

会長

1977年生まれ、神奈川県出身。高校卒業後、投資用ワンルーム販売会社に就職。2001年に独立し、05年には名古屋証券取引所セントレックスに当時最年少で上場を果たす。10年に現シーラテクノロジーズを創業し、ITやAIを活用した不動産テック・不動産DXを推進。事業の拡大を続け、23年には米国ナスダックへの上場を実現。また、業界の発展にも積極的に関与し、DX不動産推進協会の監事、一般社団法人日本不動産クラウドファンディング協会の理事、新しい都市環境を考える会の理事を務める。25年にはクミカと経営統合を行い、同年6月1日付でシーラホールディングスへと商号変更。代表取締役会長に就任。

PLのシーラとBSのクミカ
内製化でコスト削減し利益最大化

シーラテクノロジーズ(東京都渋谷区、元ナスダック上場企業)と、クミカ(埼玉県草加市、スタンダード上場企業)は2025年6月1日にクミカを親会社として経営統合し、シーラホールディングスに社名を変更した。統合後はスタンダード市場での上場を維持し、シーラテクノロジーズはナスダックでの上場を廃止。シーラホールディングスの代表取締役会長には、シーラテクノロジーズの杉本宏之氏が就任した。

シーラテクノロジーズは都市部への人口集中と単身世帯の増加に対応し、東京23区・横浜・川崎の駅近に、デザイン性の高い平均25㎡のワンルームマンションを展開してきた。また国内会員数1位の不動産クラウドファンディング「利回りくん」の運営や、実店舗を構えない日本最大級のオンライン賃貸仲介「ieTTY」の運営、不動産の設計開発段階でのAI導入など、いまだアナログな不動産業界のあらゆる場面でテクノロジーを導入し使いこなすイノベーション力を強みとしている。

一方のクミカは工務店からスタートし、埼玉で40年以上にわたりファミリー向けマンションを開発・建設してきたゼネコンで、多くの職人を抱えている。同社は純資産112億円、キャッシュも100億円以上と資金力がある一方、信用面で課題を抱えていた。数社から打診があった中でシーラテクノロジーズとの資本業務提携を経て、今回の経営統合に至ったという。

「今回の統合において、シーラテクノロジーズにとっての最大のメリットは、外部に委託してきた業務の内製化です。今や建設費が高騰する中、収益性の維持は全ディベロッパーの課題となっています。統合後は土地の仕入れから設計、建設、その後の管理や大規模修繕まで全てを自社で完結できるようになり、コストの削減、利益の最大化に繋がっています。また、エリアやプロダクト規模の拡大も図ることができました。クミカにとっては、事業を継続するための信用補完が何よりも必要でしたし、テクノロジーの導入によるDXやデジタルマーケティングの推進も狙いでした。PL(収益力)が高いシーラテクノロジーズと、BS(財務体質)が良いクミカの統合により、目指していた不動産総合テック企業が完成したと言えます」(杉本宏之会長)

新体制となったシーラホールディングスでは、総合不動産事業、不動産管理事業、建設事業、再生可能エネルギー事業を展開している。売上高の9割近くを占める総合不動産事業では単身者やDINKs※に向けた25~50㎡のマンションを中心に、ホテルやオフィスビルも手掛け、用地仕入から企画・設計、建築、販売までを一気通貫で担う。もう1つの中核である不動産管理事業では、アセットマネジメント(AM)及びプロパティマネジメント(PM)、ビルマネジメント(BM)を行っており、現在の賃貸管理戸数は4000戸を超えている。

※DINKs/「Double Income No Kids」の略で、共働きで意図的に子どもを持たない選択をした夫婦を指す

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