少量多品種生産で年間120万台
参入障壁高いセグメントに特化
アイコムは、アマチュア無線機から陸上や海上、航空、さらにはIP無線機や衛星通信無線機まで、あらゆるジャンルの無線通信機器を手掛ける。
同社の特徴は、創業来、無線機の専業メーカーとして「自前主義」を貫いていることだ。市場調査から設計、製造、販売までを一貫して行い、国内のみならず海外子会社を通じて自社製品を輸出している。和歌山県に2つの自社工場を持ち、生産能力は月間10万台超、年間120万台に上る。
中岡洋詞社長によれば、「メイドインジャパン」にこだわる理由は、設計と製造の間のフィードバックを迅速に行える点にあるという。
「当社が注力する分野の顧客はある程度限られていますが、一方で様々な要望が寄せられるので、例えば百機作ると百通りの製造工程があるわけです。海外だと時差や言葉の壁、文化の壁があります。少ない数量を数多く作るには、正確にコミュニケーションを取って間違いないものを常に作らないといけません。そこはメイドインジャパンの強みだと思います」(中岡洋詞社長)
無線機市場における世界トップクラスのメーカーでは、モトローラ社、ケンウッド社などがよく知られている。一方で、アイコムは世界大手が狙わないニッチなセグメントに特化しており、それが他社にとって参入障壁になっているという。
「例えばモトローラのような大手が狙うほどの規模ではないが、当社にとっては十分なサイズの市場があり、特に高い利益率が望める分野もあります。他社としては参入するにも、細かい対応が必要となる一方で利益率が高いというわけでもないので、新たに参入する企業が少ないのだと見ています。こうして、セグメントを絞って展開していることが当社の強みになっています」(同氏)
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