26年9月期から新中期経営計画がスタート
長期ビジョン達成へ、第3フェーズに突入
人・夢・技術グループは連結売上高と営業利益の9割以上を建設コンサルティング業が占めている。建設コンサルタントとは、道路や橋などの社会インフラが整備されるフェーズのうち「企画・調査・計画・設計」といった上流部分を担い、総合工事業者(ゼネコン)が施工するフェーズの「施工管理」や「運営管理」にも携わっている。
中期経営計画「持続成長プラン2025」の最終年度となった25年9月期は、3年間で基幹事業の底固めに取り組んだ結果、売上高が前期比15・5%増の459億8400万円、営業利益は同49・9%増の26億8300万円へと伸長。通期計画達成率は受注高101・6%、売上高106・9%、営業利益122%と好調に推移した。
「長期経営ビジョン2030」(20年9月期~31年9月期の11年間、全4フェーズ)を掲げる同社は、折り返し地点を迎えた25年12月、4代目社長として野本昌弘氏が就任。26年9月期からは第3フェーズの中期経営計画「持続成長プラン2028」がスタートした。
人事交流を活発化し、事業領域を拡大
市場変化への適応力をさらに強化
─御社グループの今までをどう捉え、どのように変革していこうとしているのでしょうか。
野本社長 長大、から「人・夢・技術グループ」を設立し、グループ経営体制に移行してから4年が経ちました。業績面では右肩上がりで推移し、想定の軌道に乗ってきたと言えます。しかし、実態としては、依然として個社の集合体の域を出ておらず、シナジーの創出という点ではまだ十分とは言えません。現在、私が最も重視しているテーマが、グループシナジーの本格的な創出です。ただ、異なる専門の業務分野と企業文化を持つ会社同士を真に融合させることは容易ではありません。
基礎地盤コンサルタンツを子会社化した際にも重複領域における連携の可能性を探ってきましたが、現場レベルまで融合するには至っておらず課題が残っています。近年はIT企業も新たにグループ入りし、当社のDX領域の業務を担っています。しかし、これもまた、業務の内製化にとどまっています。言うなれば「1+1が2のまま」の状態です。
グループとして更なる飛躍を実現するためには、1+1を3にも4にもする、真のシナジーの創出が不可欠です。これこそが、次の成長ステージに向けた最大のミッションであると認識しています。
─グループシナジーを高めるために、どのような取り組みを始めましたか。
野本社長 グループ全体に横串を通すため、今期は組織を再編しました。新たに、内部統制センター、経営管理センター、営業戦略センター、IT戦略センターの4センターに加え、社長室と健康支援室の2室を設置しています。
経営管理センターは、グループ全体の基盤強化を担います。例えば、各社がサブ事業として手がけている河川・港湾分野の事業集約や、M&Aを含む効果的なアライアンスなど、経済価値と社会価値を生み出す経営戦略を推進していきます。
営業戦略センターは、グループの方向性を各社に浸透させる役割を持ち、各社が参画して今後の営業戦略について議論を重ねています。
IT戦略センターは、難度の高いインフラや大型インフラを手がけてきた技術者がもつ知見のデータベース化を進めてAIと融合させます。これと並行してグループ全体のDXも進めていきます。
ダイバーシティ、サステナビリティ、広報・IRの機能は社長室に集約し、グループ横断の重点プロジェクトを加速させます。
─現場レベルでグループの融合を進めるための施策は。
野本社長 長大と基礎地盤をはじめ、各社間で人事交流を開始しています。たとえば、設計・メンテナンスに強みを持つピーシーレールウェイコンサルタント(以下:PCRW)のミドル層に出向してもらってグループ全体の技術力を底上げする一方で、逆に若手社員をPCRWへ送り出して経験を積んでもらうなど、さまざまな階層で交流を活発化させていく方針です。
PCRWを例に挙げたのは、近年の市場ニーズが、新設からメンテナンス・維持管理へとシフトしているためです。長大の前期の業績が伸び悩んだのは、これまで新設を主力としてきた同社がメンテナンス需要を十分に取り込めていなかったことに一因があり、この領域を強化することが業績の回復につながると考えています。
メンテナンスに限らず、人事交流を通じて各社の事業領域が広がれば、市場変化への適応力は格段に高まります。個社単位の取り組みに留まらず、グループ全体で事業領域を拡張していくことで、より幅広く、よりスピード感を持って事業戦略を推進できると考えています。
さらに、その先の高みを目指していく
人・夢・技術グループの“志”を社会に発信
─今後の展開について聞かせてください。
野本社長 この4年間で『長期経営ビジョン2030』に描いた成長軌道に乗ってきました。今後もメンテナンス需要の取り込みに加え、豪雨災害への対応力強化を見据えた河川・港湾分野の事業領域拡大をはじめとした基幹事業の深耕、グループシナジーの創出に取り組んでいきます。
数年前から部門・課単位での取り組みを進めているDXは、今中期経営計画の期間中に最低でも生産性を1割向上させることが目標です。さらに、社会の人たちに広く「人・夢・技術グループ」を知っていただくことも、私のミッションのひとつだと考えています。ブランドメッセージの発信やSNSなどを活用した情報発信を強化し、時間をかけて、着実に、人・夢・技術グループに対する社会の認知を広げていきます。
─ブランドメッセージ「『もっといい』の、その先へ」を創った経緯を聞かせてください。
野本社長 グループ会社がこれまでにも増して連携し、お互いを高め合っていくためには、その指針にもなるコンセプトワードが不可欠だと考えました。各社の幅広い世代の社員で構成するワーキンググループを設置し、1年をかけて社員の想いを込めたブランドメッセージを策定しました。これまで人・夢・技術グループは、常により良いインフラを創るという姿勢を持ち続けてきましたが、ブランドメッセージには「さらに、その先の高みを目指す」という当社の“志”を込めました。
これから中期経営計画の説明を兼ねて全国の拠点を回り、2150名の社員にこの“志”を直接伝えて、グループとして大切にしたい価値観を浸透させていきたいと考えています。










