FPSO市場規模は世界的に拡大中
29年までの市場総投資額1260億ドル
沿岸から離れた洋上に浮かぶ、全長300mの大型プラント・FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)。水深2000~3000mの海底油田から石油・ガスを生産・貯蔵し、タンカーやパイプラインへ積出しする船型設備だ。石油・ガス開発は世界的に、浅海から深海へと拡大中。FPSO市場の総投資額は2025年~29年で1260億ドルに達すると予測されている。
東洋エンジニアリングでは、05年からFPSOの船上に搭載するプラント部分のEPC(設計・調達・工事)に取り組んできた。主契約者であり、FPSOにおいて世界で2強と言われる三井海洋開発(MODEC)から高い評価を受け、22年には同社との合弁会社OFSを設立。東洋エンジニアリンググループからの出向者80名に加え、シンガポール、マレーシア、インドの拠点にて約1400名のグローバル体制を構築し、ブラジルやガイアナで船も含めたFPSO全体のEPCI(設計・調達・工事・据付)大型プロジェクトを進行中だ。
「昨今、FPSOは段々と大型化しています。搭載する設備も高度化・複雑化しており、例えばこれまで油田からの汲み上げ後に分離するだけだったCO2を回収するようになったり、ガスタービン発電機の排熱を利用して蒸気タービンでも発電するコンバインドサイクルを取り入れ、発電効率向上や環境負荷低減を図ったりなど、陸上プラント並の設備が求められるようになりました」(橋本克己執行役員)
沿岸から数百㎞に係留された洋上設備だからこそ「オフショア(洋上)に問題を持ち込まない」ことが何よりも重要だ。そのため建設には、陸上での実績やプロジェクトマネジメントのノウハウが重視される。アマゾン上流の孤立地域や砂漠・極寒地帯などの過酷環境下での建設経験、カーボンニュートラル分野を含めた豊富な独自技術を持つ同社が活きる領域なのである。
「近年、FPSO市場には韓国などの造船会社も新たに参入していますが、そういった企業では建設後のオペレーションは不慣れです。FPSOを設計から建設、オペレーションまでフルパッケージで提供できる会社は世界でも片手ほどの数に限られており、また英シェル等のオイルメジャーとの実績を持つことが競争力の源泉となっています」(同氏)
FPSO市場では将来的に、洋上でのアンモニア生産、アンモニアの分解による水素製造、洋上風力発電からの水素製造といった広がりも期待されており、同社も技術開発に取り組んでいる。
「世の中が求めるエネルギー政策を『社会実装』するのが我々の役目です」(同氏)
東洋エンジニアリングは「エンジニアリングで地球と社会のサステナビリティに貢献する」という使命のもと、エンジニアリングの遂行を通じて社会に寄与していく。











