塗装システム事業 ―「10年プラン2035」にみる成長戦略と収益性 大気社 【1979・プライム市場】

自動車産業で培った技術をベースに
あらゆる産業の生産ライン構築を担う

大気社では、長期経営ビジョン「10年プラン2035」を掲げ、「塗装システム事業」を再定義した成長戦略を描いている。同事業は、自動車メーカー中心に様々な塗装工場の設計、施工を行い、同分野において売上高では世界第2位の実績を誇る。排気処理や気流制御など、空調設備事業で培ったコア技術をベースに発展してきた同事業は、長期的には「環境システム事業」との連携により、あらゆる産業の生産ライン構築を担う「ラインビルダー」への進化を目指している。

四輪で磨くオートメーション

「塗装システム事業」は、高い塗装品質の実現と、省エネルギー技術や先進的な環境技術を調和させた自動車塗装プラントの設計、施工を行っている。

同事業部では「設備を納めるだけでなく、ラインとしてどう機能させるかが価値になる」との考えのもと、自動車製造領域における、オートメーション対応の深化も進めている。同社は車体塗装に加え、バンパーなどの外装部品や周辺工程までを含めたライン構築に対応することで、四輪領域の中でも事業範囲を広げてきた。

中期経営計画の初年度である今期はすでに、北米グループ会社を通じ、北米オートメーション会社のM&Aを実施。この会社が持つ検査の自動化技術や人材リソース、顧客基盤を確保・強化している。また、北米、インドに加えて、欧州への再進出など伸びる市場に積極展開を図っている。

ポートフォリオを拡充

一方で、同事業では自動車以外への展開も積極的に進めていく計画だ。鉄道車両や航空機関連分野に加え、他の製造業など、塗装技術や工程設計力が求められる分野への取り組みを進め、事業ポートフォリオの拡充を図る。

これらの分野では、多品種や小ロット生産のスマートファクトリー化の貢献、塗装技術が活かせる市場マーケティングを実施。また、空調事業で培った環境提供技術をはじめ、コンサルティングからアフターメンテナンスまで一貫したサービスの提供をこれまで以上に訴求し、あらゆる産業でスマートファクトリーを実現することで、シェア拡大を目指している。

ドライ加飾で挑む生産革新

現在、脱炭素化や環境規制が強まっている。また、EV車の登場によりギガキャスト含め、自動車業界では100年に一度といわれる変革期を迎え、クルマづくりが大きく変わろうとしている。その両方にミートする取り組みが、従来のスプレー塗装に変わり、車体ボディを塗ることからの脱却を目指した新たな技術革新であるドライ加飾技術。溶剤や水を使用しない同技術は、塗装工程におけるCO2排出量やエネルギー使用量を大幅に削減できる可能性がある。

この技術は、中期経営計画期間中の導入を目指しており、環境負荷低減によるカーボンニュートラルを実現する手段として期待されている。

「環境システム事業」との連携強化

10年プラン2035の重点注力市場の一つである、EV用バッテリー製造分野では、環境システム事業の日本国内での実績・ノウハウ・人的リソースとの融合による両事業によるシナジーを見込む。

特に北米市場は、EV関連投資が活発化する見込みで、大規模なバッテリー工場の建設計画が進展している地域だ。「塗装システム事業」が有する、工場全体を設計・構築できるトータルエンジニアリング力と、「環境システム事業」が担う空調・クリーン環境構築技術を組み合わせることで、工場全体を俯瞰した提案が可能となり、ワンストップソリューションを提供するエンジニアリング会社を目指している。

「塗装システム事業」は、自動車関連分野で培った技術を基盤に、適用分野を段階的に広げていくとともに、「環境システム事業」とのシナジー効果を生かし「ラインビルダー」へと進化させ、大気社全体の持続的成長に繋げていく。

ログイン SEARCH