第2フェーズは、全項目で上振れ着地
サステナビリティの視点が不可欠に
同社は「長期経営ビジョン2030」の達成に向けて、バックキャストで中期経営計画を策定している。だが、インフラは市民生活と経済活動の基盤であるだけに、求められるニーズやプライオリティもまた、大きく変動する社会・経済環境の影響を受けずにはいられない。とくにサステナビリティの視点からの技術やサービスの開発、そして戦略的な投資は、これまでにも増して不可欠なものとなっている。
「当社の主な事業はインフラ整備におけるコンサルティングであり、事業そのものが住民の生活を守ることに直結する。当社は従来型の官公庁から受注する公共事業にとどまらず、より広範な分野・領域のコンサルティングとマネジメントを展開していくことで、当社の持続的成長はもとより、社会全体の価値創造にも貢献できる」(野本昌弘社長)
「長期経営ビジョン2030」の数値目標は、31年9月期に売上高600億円、営業利益50億円、営業利益率8・3%、従業員数2600名。
一方「成長基盤確立に向けた投資」を方針に掲げた「持続成長プラン2025」の最終年度25年9月期は、売上高が計画達成率101・6%の462億円、営業利益は同106・9%の459億円、営業利益率は同122%の26億円、従業員は2150名と、全項目で計画より上振れて着地した。
「数値目標は達成したが、100点満点ではない。長期経営ビジョンで掲げたM&Aなどの戦略投資から生み出される成長は、現時点で3割程度の進捗にとどまっている。第3・第4フェーズをかけて、戦略的なアライアンスを着実に実行する必要がある。次のフェーズではこうした課題にしっかりと取り組んでいく」と、野本社長の課題認識はいたって明確だ。
第3フェーズで目指すは「成長基盤の確立」
事業軸別、横断戦略で「もっといい」の、その先へ
26年9月期から、第3フェーズにあたる中期経営計画「持続成長プラン2028」が始動した。新しい中計のミッションは「成長基盤の確立」だ。28年9月期のKGIは売上高487億円、営業利益31億円、営業利益率6・4%、従業員数2390名に置いている。
同社が立てている四つの事業軸別の売上目標は、事業軸Ⅰ(国土基盤整備・保全分野)が370億円、事業軸Ⅱ(環境・新エネルギー分野)が53億円、事業軸Ⅲ(地域創生分野)が37億円、海外連携展開領域が27億円だ。
基幹事業である事業軸Ⅰは、業務の効率化による生産性の向上を図るとともに、グループシナジーとM&Aによって事業領域を拡大。橋梁、道路、交通などの中核技術を強化し、基幹事業をさらに深耕していく。先行して取り組んできた事業軸Ⅱは基幹事業化を目指すこととしており、事業軸Ⅲはサービス提供エリアの拡大が目標だ。海外領域は非ODA案件の受注拡大や国内事業部との連携強化などによって、現状では5%の海外売上高比率を10%へ伸長させる。
野本社長は「事業軸Ⅱの環境・新エネルギーは、売上と収益の連動性が高く、事業軸Ⅰに続く柱として期待している分野だ。新エネルギーは洋上風力・地熱の地盤調査、陸上風力では周辺道路の計画・設計に加えて、量子コンピュータを活用した配電網整備といった新分野のコンサルティングを推進していく。環境分野はこれまで主に国交省案件だったが、空飛ぶクルマの環境調査や離発着場の設計、A.Qトイレや反射塗料のプロダクツ販売など、民間市場への浸透、定着にも取り組んでいく」と説明する。
新中計では横断戦略として人的資本やDXも掲げた。人的投資には39億円を計上。DEI&Bを推進し、『個』の力を引き出し、最大化する。さらにグループシナジーを向上させ、グループの人材力を一層高めていく。
同社はこれまでも斜張橋のケーブル点検ロボットを開発するなどDXに取り組んできたが、新中計ではITインフラ・DX投資に14億円を計上。独自のDXツールの開発や高度化、AI活用による業務改善などによって、付加価値生産性を1割向上させる。刻々と変わる社会・経済環境とともに、株式市場からの要請も的確に受け止め、これらの環境変化に適応すべく、ガバナンスの強化も図っていく。
事業開発投資やベンチャー投資、研究開発などへの成長投資には32億円を計上。成長投資では研究開発投資や今後は洋上風力や地熱発電、CCSなど、再生可能エネルギーの導入やカーボンニュートラル(CN)計画策定などに関連する案件などにもインフラサービスコンサルティングを提供していく計画だ。
「従来の公共事業は手堅いビジネスだが、社会は急速に変化している。これから持続的な成長を続けるためには内包しているリスクを見極めながら、挑戦することが必要だ。第3・第4フェーズで新事業を収益化する。公共事業にとらわれることなく、グループとしての可能性を広げる。「もっといい」の、その先へ。2030年、人・夢・技術グループは、いまは想定していない領域にも参入していることだろう」(同氏)











