空調設備設計・施工から最適化まで
同事業は「産業空調システム分野」と「ビル空調システム分野」で展開している。前者は半導体関連、電子部品、医薬品、 バッテリーなど、主に製造過程で高清浄環境が要求される生産工場や研究施設を対象に、空調設備の最適化を促す。また排気処理装置、公害防止装置などの環境保全装置の提供にも注力。一方後者は、オフィスビル、データセンター、空港ターミナルなど公共性の高い施設の新築からリニューアルまで、空調設備の設計・施工を行う。
幅広い施設で、顧客密着型ソリューションを提供できるのが強み。国内はもとより、ASEAN中心のグローバルネットワークを確立し、海外売上高比率も35%以上を誇る。
長期ビジョンにおける位置づけ
大気社は現在、「10年プラン2035」のありたい姿として「Be Engineering for a Sustainable Society」を掲げ、完成工事高5000億円超と倍増を目指し、全社を挙げて取り組んでいる。
同プラン実現に向けて同社は、半導体・電子部品、モビリティ(自動車・二輪・鉄道・航空機)、バッテリー、バイオ・医薬品、データセンターの5分野を重点注力市場として打ち出している。カギとなるのは、ともにコア事業である「塗装システム事業」との『シナジー領域の拡大』だ。
例えばEV用バッテリーでは、「塗装システム事業」の技術でバッテリー用ケースの防水・防錆加工装置を開発する一方、「環境システム事業」はその製造プロセスにおいて、超減湿を可能とするドライルームや、特殊な溶剤の回収装置などを提供。両事業が連携してワンストップソリューションを提供する。
ASEANを重点市場に
一方海外展開では、ASEANを重点市場とし、東南アジア地域の設備投資を支える体制を強化。グローバル展開する顧客企業の、生産拠点分散に伴う東南アジア進出活発化を受けて、シンガポールに「アセアン統括部」を設置した。これにより日系企業はもちろん、今後は非日系企業との接点を拡大し、ASEAN地域での大型プロジェクト対応力を強化していく計画だ。
また、日本企業とは商習慣や要求仕様が異なる非日系企業との相互理解を図るため、TAIKISHA INNOVATION SITE Aikawa(TISA)を設立。実際の技術・設備を見て体感できる「共創の場」として、顧客との信頼関係構築を図っていく。
中期経営計画は一里塚
現在進行している2028年3月期を最終年度とする中期経営計画は、そのファーストステップとして位置付けられている。
足元では、半導体・電子部品を中心に国内需要が活況を呈しており、同事業はその需要を着実に取り込む一方で、労働制約を乗り越える生産性向上と施工キャパシティの拡充に取り組む。これにより、国内の収益基盤を盤石化し、海外展開の原資を確保していく。

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