1938年に事業開始
「化学品事業」は海外比率58%
界面活性剤は、汚れを落とす洗剤に含まれているイメージが強いが、様々な“モノ”の「界面(境界面や表面)」に作用して、その性質を変化させる薬剤の総称である。
かつて繊維大国だった日本では、国内で製造される界面活性剤の約8割が「洗い、染色、仕上げ」など、繊維加工向けの薬剤だったという。
福井県では戦前から繊維産業が栄えており、創業者の江守清喜氏は1938年に宮下精練剤工業所の経営に参画し、繊維油剤とアミノ酸の製造を開始した。41年には日華化学工業株式会社に改組・商号変更した。
ポリシーは「製品を売るにあらずして技術を売る」。顧客となる繊維加工メーカーそれぞれのニーズに合わせて、カスタマイズした加工薬剤を供給できることを強みに成長してきた。繊維加工メーカーの多くが生産拠点を海外に移すなか、同社もそれに追随する形で、68年には海外に初の拠点を設立。その後も展開地域を拡大した。国内の同業他社が次々と事業撤退するなか、同社ではこの早い時期での海外進出が奏功。繊維加工の主戦場となったアジア諸国でも存在感を示している。主力である化学品事業の売上高比率は74%、うち海外比率は58%に上る(2023年時点)。
「繊維を『洗う』、『染める』だけでなく、撥水・抗菌・防炎など『機能を付与する』といった繊維加工の全工程で薬剤を供給できるのは、国内メーカーでは今、弊社だけです。アパレルをはじめ、インテリアなど幅広く展開しており、自動車用シート・レインコートなど衣類の撥水剤、抗菌・抗ウイルス剤では国内で約4割のシェア、クリーニング店向けの洗剤では約3割のシェアを占めます」(江守康昌社長)
同事業では現在、繊維加工で培った界面活性剤の技術を活かし、再生パルプを作る際に古紙からインク成分を分離させる「脱墨剤」、手術器具の洗浄剤、半導体加工用薬剤など、幅広い分野に技術を展開している。
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