タンパク質の〝設計図〟が標的
「より多くの患者を救うことが可能」
同社が進める「mRNA標的低分子創薬」は、タンパク質の“設計図”にあたるmRNAを標的とした創薬手法の一つ。そもそもタンパク質の生成をできないようにさせ、かつ経口投与・大量生産が可能な低分子医薬品のメリットを持っている。この創薬手法により、約5000種ある疾患関連のタンパク質のうち、これまで創薬の対象にできなかった3000種以上、つまり60%以上のタンパク質に対応できる医薬品の創出が可能になるという。
同社はmRNA上で低分子医薬品の標的部位となるターゲットの探索からスクリーニング、できた化合物を検証・最適化して臨床候補化合物を作り上げる技術を統合した創薬プラットフォーム「ibVIS」を製薬会社に提供している。製薬会社は自社の持つ従来型低分子医薬品の創薬インフラと組み合わせることでmRNA低分子創薬が可能となる。
「今まで治療できなかった疾患が治療できるようになり、また低分子医薬品にすることで、より多くの患者さんを救うことができると考えています」(中村慎吾社長)
同社は研究期間中・候補物質を選定後の開発期間中・販売開始後と、短期・中期・長期のそれぞれ3段階で収益を確保できる仕組みを持つ。特に販売までこぎつければ、販売期間中に売上高の数%のロイヤリティや販売額に応じた売上マイルストーン収入が見込まれる。
mRNA標的低分子医薬品の販売例はまだないが、癌・中枢神経の疾患領域を中心にブルーオーシャンを開拓できる可能性が高い。23年12月期は、事業収益が3億6000万円、営業利益は3700万円と黒字化を達成。24年2月にはグロース市場にmRNA標的低分子創薬の日本初プラットフォーマーとして上場を果たした。
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