3施設で自然冷媒冷凍機導入
蓄電システムも常設
2024年2月、同社は北海道恵庭市にある戸磯南工業団地内に「恵庭スマート物流センター」を竣工させた。
同センターのコンセプトは「2024年物流ソリューション」。同センターは、省エネ・BCP対策・品質維持を含め現在の最先端機能を完備していることからセンター名に「スマート」という言葉を入れた。
カーゴナビゲーションなどの設備を導入し、省力化・省人化を図ると共に、太陽光発電設備のほか、省エネ自然冷媒冷却設備冷凍機、ソーラーパワーアイスパックシステムによる省エネ化、自立型コンディショナー、ジェネレーターによるBCP対策の強化を図った。
省エネ化の取り組みの1つとして、同社としては道内初の太陽光発電設備とリチウムイオン蓄電池を導入し、「蓄電による冷蔵倉庫の冷却」を行う。停電時でも稼働できる自立機能式パワーコンディショナーシステムにより、平常時だけでなく災害等の非常時にも、同センターで発電したエネルギーで倉庫内の冷却が一部可能だ。
また、同センターの社用車にはEV(電気自動車)を採用し、太陽光発電システムと連携させた充電ステーションを設置。災害時には非常用電源として利用可能であり、BCP対策としても有効だ。
同時期には、大阪府大阪市此花区夢洲に「夢洲第二物流センター」を竣工。
「恵庭スマート物流センター」と同じコンセプトで建てられた同施設は、新設では初となる同社独自のカーゴナビゲーションシステム、太陽光発電・リチウムイオン蓄電池・自立機能を持たせたパワーコンディショナーシステムなどを導入。省力化・省人化をはじめ省エネ設備・環境保全・BCP対策強化を図った。
2021年には長崎県平戸市に「平戸アイスファクトリー」を竣工。これにより、再生可能エネルギーで施設内の使用電力16・8%を賄っている。
同施設は、自動製氷システムや無人販売機の導入により、製氷から販売までの「全自動・無人化・24時間稼働」の製氷工場としては、国内最大級。今回、同社は平戸市「地球温暖化対策実行計画」に賛同し、地方創生SDGsの推進の一環として、平戸市などの協力のもと実現した。
70年代より本格的取り組み
従業員の意識向上にも注力
1948年創業の同社の環境対策への本格的な取り組みは、1970年代にまでさかのぼる。同社は1980年代にかけて、環境問題への意識を高め、基本的な環境保護活動をスタート。主に廃棄物の適正処理やリサイクルの促進に取り組んだ。
1990年代に入り、環境マネジメントシステム(EMS)の重要性が認識され、ISO14001の認証取得を目指す動きが始まった。この取り組みは、環境保護のための体系的なアプローチを確立する基盤となった。
2000年代には、物流センターの省エネルギー化を推進。インバーター制御による効率的な冷却システムの導入や、自然冷媒を使用した冷凍設備の更新を行った。また、再生可能エネルギーの導入が進み、太陽光発電システムの設置が始まった。
2020年代に入り、環境対策はさらに強化。最新の冷凍技術の導入や、環境にやさしい冷媒の導入を進めているほか。従業員への環境教育と啓発活動が強化され、全社的な環境意識の向上を図っている。
自然冷媒導入率85%に引き上げ
サステナブル経営さらに進展
同社は現在、2030年に向けた長期ビジョンを掲げ、サステナブル経営のさらなる進展版「ヨコレイサステナビリティ2030」を策定し推進している。
環境への取り組みとして同社は、新設物流センターには自然冷媒冷凍機を導入。既存施設でも自然冷媒冷凍機への入替工事を進めており、自然冷媒導入率の2030年目標を80%以上から85%以上に引き上げた。2024年度は、既に3つの新設物流センターと既存物流センターへ自然冷媒冷凍機を導入した。太陽光発電システムの導入も順次進めている。
これらの取り組みを通じて、同社は自然環境への負荷を減らし、持続可能な社会の実現に向けた貢献を続けている。