
※以下、時価総額の変動は2019年秋時点から2025年直近の数値を比較したもの。
時価総額 463億円→5,735億円
オルガノ(6368・P・東京都江東区)
半導体向け水処理設備好調で業績過去最高
納入後も管理・メンテで安定収益基盤確立
半導体向け純水装置の大手オルガノが、近年業績と共に株価を大きく伸ばしている。2020年3月期は965億1500万円だった売上高は、前期の25年3月期には1632億6900万円と約1・7倍に。営業利益は99億800万円から311億2000万円と3倍以上に伸びた。株価は同期間に、1000円台から一時9400円に急騰。直近では1万2000円超と、6倍以上に上昇している。
同社の全売上高のうち、85%は幅広い産業向けに水処理設備やメンテナンスなどを手掛ける「水処理エンジニアリング事業」、残り15%は水処理薬品や機器、フィルタなどの機能商品を提供する「機能商品事業」となる。
業績拡大のけん引役は、やはり主力の水処理エンジニアリング事業だ。好調の要因は①電子産業分野の伸長、そして②ソリューション事業の拡大が挙げられる。同事業売上をさらに細かい事業別にみると、「プラント」「ソリューション」でちょうど半々となる。プラントでは、純水・超純水設備や排水処理・回収設備などを新規納入。ソリューションでは納入後の運転や管理、メンテナンスなどを行っており、顧客とは20年以上にもわたる長期的取引となる。また、顧客である工場内にオルガノ自身が設備を保有し、サブスクリプションのような形で純水などを提供する「設備保有型契約」も拡大。同契約は顧客の初期投資額が抑えられるため、ニーズの増加が期待される。
1946年の戦後に創業した同社。当時のエネルギー不足の中、燃料などが不要な小型純水装置を開発するなど、当初から「水の精製」を主軸としてきた。現在では、水中の成分・不純物を極限まで除去した「純水」「超純水」は幅広い分野で必要とされており、食品や医薬、化学工場や発電所、上下水道施設などさまざまな分野で水処理技術を提供する。
中でも近年伸びているのが、半導体を中心とした電子産業向けだ。半導体製造工程に要求される水の純度は、例えるなら「オリンピックの50mプールに耳かきの先ほどの不純物が溶けている状況も許さない」ほど高い精度が求められるという。同社は創業以来培ってきたユニークな素材や装置などが評価され、引き合いを獲得している。
水処理エンジニアリング事業の売上高を顧客分野別にみると、2018年3月期は43%だった電子産業比率は、25年3月期に70%となった。地域別にみると、近年は特に台湾の売上が伸長。同地域では、最先端半導体向け超純水装置のニーズが高まっている。
同社は31年3月期までの中長期計画で、最終年に売上高2500億円以上、営業利益率15~18%、ROE15%以上を目標に掲げる。売上高は6年で900億円弱増やす必要があるが、一方で営業利益率はすでに19・1%、ROEは21・7%となっている。売上アップに向けては、今後も電子産業向けを成長ドライバとしながら、省エネや脱炭素の提案力強化などでソリューションをより拡大させる。
また、アジアや北米を中心とした海外展開にも注力。韓国やインドへの展開も検討しており、31年3月期には海外売上比率を48%(25年3月期は39%)まで押し上げる。
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