知られざる中堅エクセレントカンパニー

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※以下時価総額は2020年春時点から直近の数値を比較したもの

時価総額 1,375億円6,174億円
高砂熱学工業(1969・P・東京都新宿区)
温暖化の影響で高まる空調設備工事のニーズ
建設プロセス変革で完工高100億円増目指す

空調設備工事の最大手、高砂熱学工業がここ5年間で業績を大きく伸ばしている。

2021年3月期に2751億円だった売上高は、25年3月期には3816億円と約1・4倍に。営業利益は、同時期に123億円から324億円と約2・6倍になっている。特に営業利益は、15年3月期に77億円だったため、10年で4倍以上伸びたことになる。株価も期中の高値で見ると、10年で805円から3370円と4倍以上になり、直近の年初来高値では4861円と約6倍にもなっている。

この順調な業績拡大を支えてきた要因は2つある。1つは産業空調設備工事。そしてもう1つが一般空調設備のニーズの高まりだ。

▲研究施設「イノベーションセンター」には空気を学べる体験型ミュージアムも

同社の設備工事事業は、元請として受注することが多い産業空調設備と、ゼネコンからの受注が多い一般空調設備に大別される。5年前の売上高比率は産業4割、一般6割だったが、現在は産業6割、一般4割と逆転している。産業空調の中でも特に拡大しているのが、生成AI普及でニーズが高まる半導体関連で、同社では特許技術・大規模クリーンルームなどを手掛ける。産業設備は工事の大規模化も進む。

一方、温暖化の影響で年々建設向けの一般空調設備のニーズも高まっている。夏の外気温の上昇などによる空調設備の需要が年々拡大傾向にあるという。

▲建設プロセス変革の基盤となるプラットフォームとして機能している「T-Base」

同社ではまた、省人化と生産性向上による施工消化能力拡大を目指し、建設プロセスを変革する取り組みの「T─Baseプロジェクト」を推進。これは全国5カ所にいわば「ベース工場」を設け、あらかじめ標準化した空調機器ユニットを組み、現場での作業時間を大幅に削減させるというもので、想定以上の成果を上げている。この取り組みにより、26年3月期には完工高100億円増加を目指す。

26年3月期の全体業績予想は、売上高が初の4000億円大台乗せとなる4210億円、営業利益は433億円。いずれも前期に達成した過去最高額を、さらに大幅に更新する見通しだ。

また、中期経営計画の数値の一部を前倒しで達成したため、同社では新たに27年3月期の目標を連結経常利益400億円、ROE15%程度、連結売上総利益率19%以上に変更した。

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