未来をつなぐ社会インフラ企業7選

未来をつなぐ社会インフラ企業7選

 

Chapter 1
業界大手、周辺へ領域拡大
東鉄工業は「鉄道工事」、ショーボンドホールディングスは「インフラ補修」で確固たる地位を築く。
その知見を活かし、周辺領域にも打って出る。

 

東鉄工業(1835・P・東京都新宿区)

「鉄道工事のナンバーワン」独自の施工力が強み
専門性活かし、公民鉄や駅周辺など領域広げる

「安全はすべてに優先する」が経営理念の東鉄工業は、線路の保守・改良など鉄道関連工事のリーディングカンパニーだ。JR東日本を中心とした線路メンテナンス工事は国内シェアトップ。また、鉄道回りを中心とした土木・建築事業なども展開する。最新技術を取り入れた業務効率化などが進んでおり、営業利益率は8・3%(2024年3月期)と業界1位を誇る。創業100周年に当たる43年を見据えた長期ビジョンでは、「交通インフラメンテナンスのリーディングカンパニー」として更なる安全性・生産性向上を推進。強みの高付加価値な施工力をさらに磨き、他社との差別化を図る。

25年3月期の業績見通しは、売上高が前期比12・8%増の1600億円、営業利益は同19・1%増の140億円(25年4月執筆時点)。事業別に売上高を見ると、線路が2割強、土木が4割強、建築が約3割となる見込みだ。

 

線路事業では、線路メンテナンスや軌道工事などを受注。高性能な最新式機械を複数保有しており、例えば世界初の新幹線レール交換システム「REXS」を活用すれば、人員を最大5割近く削減できるという。最も売上の多い土木事業では、高架橋やトンネルといった鉄道近接工事で、新設工事や防災・耐震補強工事などを実施。鉄道で培った技術を武器に、自動車道路など別分野にもフィールドを広げる。建築事業では、駅周辺施設やホテル、マンションなどを建設。特に、難易度の高い線路近接・線路上空工事を強みとする。

長期ビジョン達成に向けた中期経営計画では、29年3月期に売上高1700億円以上、ROE8%以上(24年3月期は7・8%)が目標。JR東日本を基軸としつつも、地方公共団体や民間企業などが経営する公民鉄の鉄道メンテナンスへの展開などを重点領域とした。

同社の見通しによると、JR関連では、鉄道メンテナンス・新幹線レール更新は常時需要がある上、今後新幹線大規模改修や貨物鉄道需要拡大などが見込まれる。一方公民鉄では、鉄道近接・横断部の社会インフラ維持ニーズなどが高い。直近ではガス関連の鉄道下推進工事や駅周辺バリアフリー施設整備工事、水道局の配水池長寿命化対策工事など、多様な案件を受注した。同社が鉄道工事で磨いた高付加価値施工力は、今後もあらゆる社会インフラのメンテナンスに応用できそうだ。

 

有料会員限定

続きを閲覧するには会員登録が必要です。
すでに会員の方は
ログインして閲覧してください。

ログイン SEARCH