プラントのライフサイクル全体へ領域拡張
EPCを入口に、ストック型収益を生む
巨大プラントの建設を担うEPC(設計・調達・建設)業界は今、事業環境の大きな転換点を迎えている。かつて同業界では世界的な産業成長を追い風に、長期にわたり安定的な収益を維持していた。だが現在は、国際情勢の変化や脱炭素社会に向けた制度変更などが新たなリスク要因となり、プロジェクトの計画や収益見通しは以前にも増して不透明化。また、事業・発注者側のステークホルダーも多様化し、契約形態も複雑になっている。こうした環境変化は、従来のEPC中心のビジネスモデルでは収益の振れ幅が大きくなりやすい状況を生んでいる。
「事業環境の変革期にあたり、2040年に向けて描いたのが『フロー』と『ストック』の2軸による収益構造です。これまでに培ってきたEPCの技術は当社の財産であり差別化の源泉です。長期経営ビジョンでは、このフロー型ビジネスであるEPCをストックビジネス獲得への『入口』、そしてストック型ビジネスを経営の安定性を支える、毎年安定的に利益を生む『柱』と位置付けました」(富永常務CTO)
同社が骨子を発表している「TOYO VISION2040」では、EPCの枠を超え、「社会価値を共創・実装するエンジニアリング・パートナー」への変革を掲げている。具体的にはEPCを核に、プラントのライフサイクル全体へビジネス領域を拡張していく構想だ。上流では水素やアンモニアなど脱炭素技術の研究開発と社会実装を主導し、次世代の事業機会を創出。技術の確実性を担保し、将来のEPC受注や事業参画に繋げるための『先行投資』として位置づける。またこうした技術基盤を背景に、事業者としての参画も進める計画だ。下流では完成したプラントの運営・保守機能を強化し、DXによる最適運転化やメンテナンスといったソリューションを提供することで、長期的な顧客価値の向上に貢献していく。
「『ストック型ビジネス』と定義したのは、プラント運営・保守の領域や事業者としての参画です」(同氏)
フロー型ビジネスであるEPCにおいては、DX戦略の推進や、複雑化した契約に対する法務体制の強化によって採算性を高める。さらに利益率の高いストック型ビジネスを上乗せすることで、売上高の伸び率を上回る利益成長と、業績の振れを抑えた安定的な収益性の確保を目指す。
「エンジニアリング会社の真価は、技術の融合によって『新たな社会システム』そのものを創出することにあります。水素や廃プラスチックのリサイクルといった技術シーズを確実に社会実装へ導き、バリューチェーンとして提供していく。この使命を全うし、地球と社会のサステナビリティに貢献することが、結果として、長期的な企業価値向上に繋がると信じています」(同氏)









