人工歯・研削材の国内トップ 松風 【7979・プライム市場】

社員座談会 グローバル戦略について語る
松風が目指す「海外売上1.5倍」の裏側
~国際部がつくる信頼と文化~

歯科材料・歯科機器の開発から販売までを担う松風は、「第5次中期経営計画」で 海外売上を201億円(2024年3月期)から4年後に314億円へ、約1・5倍の成長を掲げている。背景にあるのは、「世界の歯科医療に貢献する」という、同社が長年大切にしてきた想いだ。その実現を支えるのが、文化も市場環境も異なる各国で、地道な活動を通じて信頼を築いてきた国際部の姿勢である。今回は、国際部の社員座談会を実施。海外の最前線で得た学びや松風らしいカルチャー、そして2027年に向けた取り組みを語ってもらった。

国際部
一澤 謙介次長
いちざわ・けんすけ
1976年生まれ。2002年に同社入社。研究開発部にて人工歯、ボンディング材などの研究開発を行ってきた。AHL赴任(3年)後、2013年に国際部へ異動し、輸入業務、海外販促業務、海外管理業務および海外子会社取締役を担当。
国際部
冨山 琢海
とみやま・たくみ
1997年生まれ。2021年に同社入社。入社後は2年間にわたり、SDBおよび代理店を担当。現在は韓国市場を中心に、現地代理店との営業活動に従事している。
国際部
THWE ZIN EI
テウェ・ジン・イ
1990年生まれ。2018年に同社入社。国際部の海外販売促進課(6年)、Giomer推進室(1年)、現在は海外学術係で臨床系担当。
国際部
山田 義一執行役員・国際部長
やまだ・よしかず
1968年生まれ。1992年に同社入社。国際部にて韓国・台湾直販担当、SDA赴任(3年)、ブラジル、インド拠点立上げ業務後、SDIのMDを経て現在はSDTSの董事長を兼務。

AHL:英国製造販売子会社
SDB:ブラジル販売子会社
SDA:シンガポール販売子会社、SDI:インド販売子会社、MD:マネージングディレクター、SDTS:中国(上海)販売子会社、董事長:取締役会長


常に患者目線・現地目線で開発
地道な活動が信頼に繋がる

——第5次中期経営計画では、海外売上を1・5倍にという大きな目標があります。国際部としてどのように受け止めていますか?
山田 今回の挑戦の鍵は、新製品をいかに各国で受け入れていただき、大きく育てていけるかです。すでに一部市場では手応えがありますが、最終的に広がりを決めるのは、現地の先生方が製品をどう評価し、実際に使い続けてくださるか。その“臨床の信頼”が松風の成長を支えています。

一澤 松風の強みは、本社に研究開発・生産・品質管理・薬事・国内営業・海外営業と専門家が集まり、ユーザー視点の情報をそのまま世界へ届けられることです。歯科医師や歯科技工士の有資格者も社内に在籍しており、製品を臨床目線で分析し、その情報を海外営業が現場で伝わる形に翻訳する。専門性と現場感が自然に融合するのは、松風ならではの文化だと思います。また、海外の歯科医師や技工士の方を招き、共同研究を進めることもあります。彼らが自国に戻った後、学会や研究発表で松風の製品を紹介してくださるケースも多く、非常に有機的な連携が生まれています。

 私は歯科医師でもあるので、「患者さんにどう良いのか」という視点で製品を評価します。その上で、海外の先生にも臨床の言葉で価値を伝えるのが役割です。国によって治療スタイルや価値観は違いますが、だからこそ対話から生まれる気づきが大きい。専門性を軸に現地の声を社内に届け、製品力の向上にもつなげています。

——海外拠点立ち上げの難しさや学びはどこにありますか。
山田 海外では日本の成功体験をそのまま横展開するだけではなかなか通用しません。文化も市場の成熟度も全く違うため、現地の目線に入り込むことがすべての出発点です。ユーザー訪問や小さなセミナーなど、本当に地道な活動を続ける中でキーパーソンと出会い、信頼が生まれ、ビジネスが形になっていく。松風の文化は「仕組みより先に、人をつかむ」という姿勢だと常に感じています。

——研究開発の出身者として、海外展開にどう貢献していますか。
一澤 研究者時代は「自分の作った製品が患者さんに届く」と単純にイメージしていました。しかし国際部に来てからは、研究開発の先に本社や海外拠点・代理店など多くの人の努力があることを強く感じています。また、外から見たときに気づいたのは、松風には「良い製品を一緒に作る」という熱意があること。現在は、研究者の視点を持つ海外営業として、共同研究や学術支援にも携わっていますが、立場が変わっても自然と協働が生まれるのは松風の良さだと思います。

——若手として海外で働く中で、どのような成長がありましたか。
冨山 松風の国際部には「まず現地に飛び込む」「任せる」という空気があります。白紙の市場に入る経験は、若手にとっては大きな挑戦ですが、そこで自分で考え、動き、吸収する中で自然と“開拓者”としての姿勢が育つ。国が違っても戸惑うより先に“受け入れて適応する”ことが当たり前になっていきます。

——国際部に共通する力は何でしょうか。
山田 最も大事なのは“当事者意識”です。日本の感覚のままでは現地に入り込めません。文化も価値観も異なる中で、自分自身をその国に寄せていく姿勢が不可欠だと感じます。

一澤 仕事を進めるうえでは、情報を正確に伝える力も欠かせません。特に海外とのやり取りは距離や時差があるからこそ、最初のコミュニケーションの精度が成果を左右します。

 松風には「やってみたら?」と背中を押す文化があります。任せられることで責任感が育ち、自分で考えて動けるようになる。この環境が人を成長させていると感じます。

冨山 専門家の多い環境だからこそ、知らないことを素直に学び続ける姿勢が大切です。口腔内に入る製品を扱う以上、曖昧な理解のまま対応するわけにはいきません。必ず確認して正確に伝える。その積み重ねが自分の成長につながっています。

——では、若手が海外で成長するために必要な支援とは?
山田 経験させることがすべてだと思います。海外はリソースが限られ、若手でも大きな役割を担える環境です。その中で任され、失敗し、学びながら成長していく。上司としては、勇気を持って任せることが重要だと感じています。

「世界の歯科医療に貢献する」
理念根底に、挑戦を受け止める

——2027年に向けて、市場をどう伸ばしていきますか。
山田 海外拠点は現地スタッフが中心となっており、日々の連携が事業の成否を左右します。現地の声を丁寧にすくい上げ、開発や戦略へと確実につなぐことが、今後の成長の鍵になると考えています。

 どの市場でも、最終的には“人の信頼”が価値を決めます。現地の先生との関係を深め、その声を製品に反映し、各国に合った形で価値を届けていく。信頼の積み重ねこそ市場の伸びにつながると思います。

冨山 既存製品にもまだ伸びしろがあるため、普及活動を着実に進めたいと思います。現地のインストラクター育成など、地域に“松風の顔”をつくる取り組みも加速させたいです。

——松風の海外展開を支える“強みの源泉”とは?
山田 松風の強みは、挑戦を受け止める文化です。若手にも経験させ、失敗すら成長の糧にする。根底には「世界の歯科医療に貢献する」という理念があります。私たちの先には常に患者さんがいる。この視点を大切にしながら、一つひとつ積み重ねていくことこそ、松風の海外展開を支える文化の源泉だと思います。

——未開の地への挑戦する意欲と現地目線に合わせる姿勢、そして受け止め支える体制の構築。その裏には、信頼を得る製品力があるということですね。本日はありがとうございました。

松風(7979・P)

京都市東山区福稲上高松町11

https://www.shofu.co.jp/

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