日本化薬 【4272・プライム市場】

「世界的すきま発想。」で描く、日本化薬の未来図③
「ライフサイエンス事業領域」

日本化薬の「ライフサイエンス事業領域」は、抗がん薬など医療用医薬品を軸とした医薬事業と、殺虫剤など農薬を展開するアグロ事業を両輪とする。医薬事業では、がん関連の分野を得意として、がん関連医療用医薬品51製品を展開する。同社は日本国内の医療機関で使用される抗がん注射剤の数量の約3割を供給し、がん医療を支える。安定供給に注力し、ジェネリック医薬品・バイオシミラーのシェア拡大や、新薬導入による収益性の改善を基本戦略として事業の成長を図る。一方アグロ事業では、野菜・果樹向けの殺虫剤や土壌くん蒸剤をラインアップし、今後の需要増が見込まれる海外市場への対応を進めている。

がん関連を得意とする
医薬事業×野菜・果樹に強い
アグロ事業で中長期的な成長へ

がん関連の医療用医薬品に集中

医薬事業では、がん関連のジェネリック医薬品(以下、GE)や、がん・炎症性疾患のバイオシミラー(以下、BS)を中心とする製品構成となっている。

毎年4月に実施される薬価改定での単価引き下げに対しては、MRによる医療関係者への情報提供活動や、競合他社が販売を終了する製品の代替供給を引き受けることによってシェアを拡大し、マイナスの影響以上に数量を伸ばして対応している。

▲ 医薬事業はがんの領域で特に注射剤に強い

特に2025年度は、がん治療に用いるベバシズマブBSがBS内のシェアを大きく伸ばし、9月末の時点で約50%までに到達した。継続的にGE・BSを上市しながら、高い市場浸透率を確保することによって、安定的な成長を実現している。

高品質な医薬品の安定供給に強み

同社はGEとBS双方の供給実績を背景に、医療現場からの信頼を確立してきた。抗がん薬の供給途絶は患者への影響が大きく、医療現場は供給安定性を重視する。同社の製造基盤は、市場の信頼を支える重要な資産だ。

▲ 医薬品を製造する高崎工場は増強を計画(写真は既存の製剤製造設備)

抗がん薬の供給基盤を担う高崎工場では、今後の代替供給対応によるシェア拡大に備えて、2030年頃までを見据えて大規模な生産能力強化を検討中だ。その皮切りとして、2026年度に新しい統合品質保証棟が稼働し、品質保証・管理業務の効率化・高度化が実現する見込み。また、現在輸入に頼り国産化が望まれる、バイオ医薬品の生産技術の確立にも取り組んでおり、その商業生産も見据えて設備増強を計画していく。

国内のがん関連医薬品の生産基地として、同社の果たす役割は益々大きくなると期待される。

アンメットニーズに応える新薬の導入

同事業において、利益率の高い新薬の導入によって収益性を改善することも重要な取り組みである。

現中期事業計画の期間中、新薬の導入に積極的に取り組み、2025年11月には、米Nuvation Bioから導入した、肺がんの中でも希少疾病用医薬品の「イブトロジーⓇ」を発売した。2026年度以降の収益貢献が見込まれる。

同社の得意とするがん領域を中心に、アンメットニーズを満たす新しい医薬品の導入を継続して、持続的な成長につなげていく。

海外市場に軸足移すアグロ事業

▲ アグロ事業のフロメトキン製剤は、国内に加え注力する海外向けブランドを展開

一方、アグロ事業は野菜・果樹向けの殺虫剤や土壌くん蒸剤を軸に、製剤工夫の技術を生かして環境に優しく高い防除効果を持つ製品開発を推進。同社発の新薬の開発にも取り組んでいる。ミツバチなどの益虫への影響が少ない新規薬効成分「フロメトキン」を用いた殺虫剤は、国内外で堅調。現在も2030年頃を見据えた新しい薬効成分の開発が進んでいる。

農薬市場は、国内で縮小傾向にあるが、世界的には人口増加に伴い食糧となる作物の生産性向上を支えるために拡大が見込まれる。同社も海外展開を重視した営業・開発の体制を整備し、海外売上高の成長を目指していく。

日本化薬(4272・P)

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