日本化薬 【4272・プライム市場】

「世界的すきま発想。」で描く、日本化薬の未来図②
「ファインケミカルズ事業領域」

日本化薬(4272・プライム)の売上高比率29・7%を占める「ファインケミカルズ事業領域」は、長年培ってきた有機合成・分散・品質管理などの基盤技術をもとに、社会の最先端を支える高機能素材を展開する。事業は「機能性材料」「色素材料」「触媒」の3分野から構成され、とりわけ「機能性材料」と「色素材料」は、化学メーカーとしての技術力を象徴する存在として発展してきた。

色と機能で社会を支える
“素材イノベーション”

先端半導体へ広がる高機能製品

「機能性材料」事業は、同社が長年培ってきたエポキシ樹脂技術を起点として進化してきた。
エポキシ樹脂は優れた接着性・耐熱性・電気絶縁性を兼ね備え、電子部品の素材や接着剤などに幅広く使用されている。同社では、この技術をさらに高度化させ、先端半導体分野へと応用を拡大させている。

▲エポキシ樹脂を使う半導体封止(黒色の部分)や、複数のチップを含むパッケージ基板(封止部分の下部)

半導体の微細化・高密度化が進む中で、パッケージ用途(基板・封止)に使われるエポキシ樹脂には、従来以上の耐熱性・電気信頼性・低誘電特性が求められている。同社はこうした要求に応えるべく、独自の構造設計技術を活かし、熱膨張の抑制や電気特性の最適化を実現した高性能エポキシ系材料群を開発。これにより、高度な電気信頼性が必要な半導体封止や、近年ではパッケージ基板用途への需要を獲得している。

▲ 高度な電気信頼性を強みに、需要を獲得しているエポキシ樹脂

これらの材料技術は、車載の電子部品やパワー半導体、先端サーバー、5G通信機器、PCなどの高信頼性を要求される分野にも応用されているなど、あらゆるものに半導体が使われる社会で存在感を発揮している。

今後、高度な半導体に使われる樹脂材料の役割はますます重要になる。同社は既存材料の安定供給に加え、半導体の益々の進化に対応する材料の研究・開発を進めていく計画だ。

産業用インクジェット分野で存在感

▲ 環境に優しい水系顔料を使った産業用インクジェットインク

一方、「色素材料」事業は、同社の“色の化学”を象徴する分野だ。単なる「着色」ではなく、材料を含む分散液の高性能化や、電子デバイス向けの機能性付与など、一歩先の材料設計を可能とする研究開発力が同社の強みとなっている。

同社は長年、染料や顔料・機能性色素の分野で独自の分子設計・分散技術を培ってきたが、近年ではこれらの知見を応用し、産業用インクジェット分野の中でも水系顔料インクを使う印刷において世界的な存在感を高めている。

産業用インクジェットプリンターは、従来のオフィス印刷から、商業印刷・パッケージなど、幅広い産業領域へ利用が拡大している。高性能なインクジェットインクには、安定した分散性、吐出時の高速吐出時の速乾性、優れた発色性・耐光性が不可欠であり、同事業の材料はそれらを高い水準で満たしている。

特に同社は、顔料の分散制御やインクの評価技術を強みとして、環境に優しい水系顔料を使った産業用インクジェットインクに注力。現在は、コート紙向けのインクを主力とし、インクの耐久性と精細な印字を高次元で両立させて、インクジェット印刷の課題であるヘッドのノズル詰まりを防ぎながら、安定的で高速な印刷を実現。また、印刷難易度の高い食品包装等に使われる軟包装材向けのインクを開発、発売に向けて評価を進めている。

同社の色素技術は、感熱顕色剤や紙・繊維用染料などの従来の用途の他、最近では調光ガラス用の二色性色素を上市するなど、「色の機能化」による新市場開拓も進めている。
半導体やディスプレイ、インクジェット印刷、基礎化学品の安定供給に貢献する触媒は、社会インフラの中核を成す技術領域であり、日本化薬の「ファインケミカルズ事業領域」はその“見えない基盤”として機能しているのだ。

日本化薬(4272・P)

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