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世界第5位の売上規模
強みはカスタマイズと組織力
JFEスチール系の品川リフラは鉄などを製造する工業窯炉などで内張りされる「耐火物」を主力製品とする。
前身となる品川白煉瓦は1875年に創業。当時、文明開化の象徴として普及し始めた「ガス灯」のガス発生炉に使用される耐火れんがの国産化が計画された。この耐火れんがを納入するため、同社は民間企業で初めて耐火れんがを製造した歴史を持っている。 以降、鉄鋼業を中心に高温プロセスを必要とする産業領域に耐火物を提供してきた。2009年に品川白煉瓦とJFE炉材が合弁し「品川リフラクトリーズ」となり、今年10月より「品川リフラ」に社名変更している。
25年3月期の売上高は1440億7200万円、営業利益は132億7800万円。耐火物メーカーとしては日本製鉄系の黒崎播磨に次いで国内2位、世界では5位の売上規模を誇る。
セグメント売上高比率は、コア事業となる「耐火物セクター」が65・8%、イソライト工業グループ(22年に完全子会社化)が展開する「断熱材セクター」が12・9%、ファインセラミックスを主力商品とし今後の成長分野と位置付けている「先端機材セクター」が3%、工業窯炉の設計・施工などを手掛ける「エンジニアリングセクター」が17・7%、「その他(不動産)」が0・6%を占める(セグメント売上高比率は調整額相殺前の売上高を基に算出)。
耐火物とは
耐火物とは高温に耐えられる工業用材料で、中でも代表的なのが耐火れんがだ。鉄、アルミなどの非鉄金属、セメント、ガラスなど社会生活を支える多くの素材は製造工程において高温プロセスがあり、耐火物を内張りした窯炉で生産され、1500度以上の高温に耐えられるものもある。
耐火物生産量の約8割を鉄鋼業が消費し、鉄鉱石を溶かし銑鉄を取り出す溶鉱炉、銑鉄に含まれる炭素など不純物を取り除き強度を高めて鋼をつくる転炉などで使われている。耐火物の取り換え需要は様々で、溶鉱炉は約20年に1回だが、転炉は消耗が激しく、約3カ月で取り換えられる。
製造レシピは複雑で繊細
耐火物の製造には、原料の配合の違いが品質を大きく左右する。同社には150年の歴史で培われたレシピが豊富に蓄積されており、そこが大きな強みだ。そのため、網羅する商品も幅広い。
「耐火物は、どんな原料を使い、どういった比率で混ぜるのか、また原料粒度の微調整などで製品の品質が決まります。また、同じ鉄鋼業界の顧客でも各製鉄所ごとに操業条件が違いますし、今まで定常的に耐火物を納品してきた設備でも顧客側で技術開発が進めば、求められるものも変わってきます。私もJFEスチール時代は原料調達担当をしていましたから耐火物の知識はあります。ところが当社に来て、『ここまで繊細なことをやっているのか』と驚いたくらいです。顧客の操業条件などを細かく理解して最適なものをカスタマイズするために、原料調達から技術開発、製造・販売、さらにはエンジニアリングといった社内の全部門が連携しています。新製品を矢継ぎ早に造り出す組織能力は、世界の競合のどこにもひけをとらない。そう自負しています」(藤原弘之社長)
断熱材セクターでは、各種窯炉の内面・背面部や化学プラントの配管の外周部などに使われる耐火断熱れんがやセラミックファイバーなどを手掛ける。同事業は国内でパイオニア的存在であるイソライト工業グループが担っている。 先端機材セクターは半導体製造装置メーカー向けなどのファインセラミックスの製造・販売をコア事業とする。
「売上高比率はまだ低いものの、当社が期待を寄せるセクターです」(同氏)
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