熊本県唯一のプライム企業 平田機工 【6258・プライム市場】

工場の生産設備を製造する「ラインビルダー」
創業地・熊本に回帰、売上高1000億円に挑戦

平田機工は大工場の生産ラインの開発・設計から完成後のメンテナンスまでを一貫して手掛ける、熊本発の「ラインビルダー」だ。自動車・半導体・家電など、世界のトップメーカーを顧客とし、生産のプロセスを下支えする。現在年商1000億円超えを目指しているほか、2025年5月に発表した新中期経営計画では、28年3月期までに営業利益100億円以上、ROE9・3%以上を目標としている。
平田機工-平田 雄一郎

平田 雄一郎(ひらた・ゆういちろう)

社長

1961年8月生まれ、熊本県出身。89年平田機工入社。2004年平田生産設備設計諮詢(上海)有限公司 取締役会長。04年HIRATA Corporation of America 取締役会長。06年平田机工自動化設備(上海)有限公司 取締役会長。07年取締役副社長執行役員海外事業本部長兼技術本部長を経て、11年代表取締役社長執行役員に就任(現任)。

世界のトップメーカーを支える
40カ国1000社以上の企業に納入

世界でも数少ない
「工場をつくる工場」

同社は自動車、半導体製造装置、家庭用電化製品などの大型工場向け生産システムを製造・販売する企業だ。熊本県で唯一のプライム上場企業でもある。

製品を大量生産する工場では、部品の組立、加工などを順番に行う生産ラインや、それを動かすソフトウェアによって製造が行われている。同社は顧客メーカーの製品や工場に合わせ、生産ラインの開発・提案、設計、組立・検証、据付、保守を自社で一貫して行っている。高性能な加工設備を保有し、産業用ロボットや機械部品などの内製化も行う。「工場をつくる工場」と呼ばれることもあり、これまで世界40カ国1000社以上に向けて製品を提供してきた。

▲Hirata製品が並ぶ

「お客様の製品開発に伴走し、今までなかった製品を新たに製造するための生産システムをつくるので、挑戦と研究開発の連続です。1つのラインが完成するまでに開発を含め20年以上かかることもあります。こうした環境により私たちは技術を磨き続けることができています」(平田雄一郎社長)

多様な設備を製造するためには、それぞれに応じた生産環境が必要となる。例えば自動車エンジン組立ラインは、メーカーによっては全長が1㎞を超えるものもある。同社はこのような長さのラインを製造し、試運転できる工場を持っている。半導体製造設備に不可欠なクリーンルームも有しており、清浄な環境の中で生産を行っている。大規模な生産ラインを一貫して対応できる会社は世界でも数少ないという。

▲顧客メーカーの工場内におけるHirata製品の設置イメージ

自動車関連や半導体関連が主力、
売上の8割以上稼ぐ

同社は「自動車関連」「半導体関連」「その他自動省力機器」の3セグメントで事業を展開している。25年3月期売上高は884億8300万円(前期比6・8%増)、営業利益は68億9800万円(同14・1%増)となった。

売上の約半分を占める自動車関連セグメントでは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)、ガソリン車、ディーゼル車まで幅広い自動車生産に関する生産ラインを製造・販売し、北米自動車メーカーや、国内車載用電子部品メーカーに納入している。また最近拡大しているのが、EV用バッテリーの充放電関連設備だ。こちらは国内バッテリーメーカー向けに納入が進んでいる。

売上の約3分の1を稼ぎ出すのが半導体関連セグメントとなっている。半導体製造前工程向けには、シリコンウェーハを各種処理装置に取り込むロードポート、ウェーハ搬送ロボット、そしてそれらを統合したEFEMなどを製造・販売する。また後工程向けにも搬送装置を提供。主に国内・北米の製造装置メーカーやデバイスメーカーに納入している。

売上の15%を占めるのが、その他自動省力機器セグメント。有機ELの蒸着装置や家電メーカー向けの組立設備、臨床検査向け医療・理化学機器など、さまざまな産業分野に向け、世界中のメーカー各社に製品を納めている。

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