昭栄薬品 【3537・スタンダード市場】

昭栄薬品の現状とこれから
企画提案型商社としての成長戦略を聞く

昭栄薬品はいわゆる化学品の中堅専門商社だ。工業薬品から繊維油剤、医薬品原料など幅広く取り扱っている。単なる流通業にとどまらず、顧客の事業価値向上を目指す企画提案型の独自モデルを築いている。その昭栄薬品を率いる藤原佐一郎社長と対談するのは、東京都港区に本社を構えるIFA法人 UBUNTUの倉成雄介社長。学習塾講師から証券会社を経て独立し、今まさに顧客数を拡大する注目のIFAだ。両者が昭栄薬品の成長戦略や海外展開、人材活用、株主施策などの本質をじっくり語り合う。企業のリアルな“今”が見える対談だ。

倉成雄介氏(以下、倉成) 今日は昭栄薬品の藤原社長にお話を伺います。まずは昭栄薬品の事業内容とビジネスモデルについて、改めて教えてください。私も調べてみたのですが、単なる商社というより、かなり幅広い事業領域を持つ会社だと感じました。ただ、具体的にどんな価値を提供しているのか理解しきれていません。

「私たちはお客様の価値を高める
企画提案型商社を目指しています」——
藤原社長

藤原佐一郎氏(以下、藤原) ありがとうございます。 昭栄薬品はパームやヤシなど植物由来の油脂化学品(オレオケミカル)を主力に取り扱う化学品専門商社です。

具体的には、工業用洗浄剤から香粧品や日用品原材料まで多種多様な品目を取り扱います。私たちの特徴は、単に商品の売買をするだけではなく、お客様の製品や事業の価値を高めるための提案や企画を行う「企画提案型商社」を目指していることです。

お客様の製造現場では品質や安全性の確保が最重要ですが、そこで使う原材料や添加剤を適切に選び、安定供給し、コストパフォーマンスを維持しながら品質向上をサポートすることが、私たちの役割です。お客様の川上から川中にかけてのニーズを捉え、製品価値向上のための技術的な提案を行っています。

倉成 なるほど。つまり単なる流通ではなく、お客様の技術力や製品開発の支援も含めたサービス提供なのですね。ただ、その提案の範囲はどのくらい広いのでしょうか?

藤原 製造までは行いませんが、お客様が新製品開発をするときの原料選定や処方設計には関与します。例えばトイレタリー製品のメーカーに対して、研究開発段階で、最適な材料選びをサポートし、安定した品質を確保しながらコストも抑えられるようにアドバイスします。

また、原材料だけではなく、工場などのお困りごとに対しても提案をしています。具体的には、水や臭気、環境衛生の機材商材を取り扱っています。

倉成 ありがとうございます。事業の多角化が進んでいるのですね。ところで、業績面ではここ数年、売上の伸びが限定的に見えます。実際にはどのように業績を維持・拡大しているのでしょうか?

藤原 確かに売上は緩やかな伸びにとどまっていますが、その中で注力して進めているのが、販売先の幅を広げることと、海外ビジネスの拡大です。以前は川上・川中の中間製品メーカーの顧客が中心でしたが、今は川下、つまり最終製品メーカーまで販売チャネルを拡げています。

海外では中国とタイに拠点を置き、日本を含む3拠点で情報連携し新規開発テーマ強化に務めています。これは将来的な人口減少や国内市場の成熟を見据えた戦略でもあります。

「原料価格が上がっても、
ちゃんと戦略で乗り切っている」——倉成社長

倉成 販売領域の拡大は、戦略的に重要な転換点ですね。 一方、財務面ではいかがですか? 特にここ数年、原材料価格の変動などの外部環境は厳しいと思いますが。

藤原 原材料価格の上昇、特にパーム油などの天然油脂の高騰は業績に一定の影響を与えています。ただ、私たちは販売価格に転嫁しつつ、タイムラグはありますが利益を確保しています。

また、先程お話しした様に、販売先を川下にも着実に拡げてきたこともプラスになっています。新規事業として取り組んできた環境商材の販売拡大や海外ビジネスの成長も収益・利益の貢献につながっています。

さらに財務体質の強化に取り組んでおり、無駄な資産の圧縮やコスト管理を強化してきました。結果的に自己資本比率は向上し、健全な経営基盤を築いています。

倉成 株主還元についてはどうでしょうか? 2023年に株価が急上昇しましたが、その要因は何でしょうか?

藤原 2023年に導入したポイント制の株主優待が大きな反響を呼びました。これまでは会社の知名度が低く、説明会などを行っても限られた効果しかありませんでしたが、株主優待を充実させたことで個人投資家の関心を集め、株の流動性も高まりました。

倉成 なるほど。知名度向上と株主層の拡大が狙いだったのですね。今後の展望としては、どういった方向を描いていますか?

藤原 大きく2つです。ひとつは国内。既存顧客の深耕を進めながら、継続して販路拡大に努めます。もうひとつは海外ビジネスの強化です。やはり国内の人口減少を見据えると、海外ビジネスの強化は必須になると感じております。

倉成 人材戦略についても興味があります。専門性の高い人材の採用や育成はどのように行っていますか?

藤原 主にエージェントを活用して国際感覚や専門性を持った人材をピンポイントで採用しています。また、業界経験豊富な人材を積極的に受け入れ、事業展開に活かしています。注力している海外でも、現地スタッフの採用と育成を進めており、地域に根ざしたビジネスを拡大中です。

倉成 ありがとうございました。昭栄薬品の「お客様の事業価値を高める企画提案型商社」という本質がよく理解できました。今後の成長を楽しみにしています。

今回のIFA UBUNTU株式会社

設立 2021年4月1日
代表者 倉成雄介
事業内容 金融商品仲介業、ビジネスマッチング業
登録番号 金融商品仲介業関東財務局長(金仲)第963号
所在地 東京都港区赤坂2-5-8
提携証券会社 あかつき証券、エアーズシー証券、東海東京証券

今回の上場企業 昭栄薬品(3537・スタンダード)

設立 1960年3月
代表者 藤原佐一郎
事業内容 環境負荷が低いパーム・ヤシ等の天然油脂を中心に取り扱う中堅化学品専門商社。日用品事業や建設材事業も育成
所在地 大阪市中央区安土町1-5-1 船場昭栄ビル

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