旧 雪国まいたけ ユキグニファクトリー 【1375・プライム市場】

「きのこ」の魅力拡大を図りブランド刷新
新領域商品を市場投入、グローバルに本格展開

まいたけ最大手のユキグニファクトリー(旧雪国まいたけ)は、まいたけの人工栽培・大量生産化を実現させた企業だ。現在そのノウハウを活用し、ぶなしめじやエリンギなど、ほかのきのこも取り扱っている。そんな同社は海外展開の本格化やまいたけを主原料とする代替肉など事業多様化に伴い、2025年4月にコーポレートブランドを刷新した。また、進行中の中期経営計画では、売上収益を28年3月期に420億円超(24年3月期は334億4300万円)まで伸ばす。 
ユキグニファクトリー-湯澤 尚史

湯澤 尚史(ゆざわ まさふみ)

社長

1971年2月生まれ、新潟県出身。95年3月千葉商科大学商経学部卒業、4月雪国まいたけ入社。2010年執行役員東京営業所長兼三課課長、14年執行役員事業企画室長、21年取締役常務執行役員営業本部長などを経て、22年4月代表取締役社長就任(現任)。

「プレミアムきのこ総合メーカー」へ
市場生産量少ないマッシュルームなど軸に

まいたけシェア、過半獲得

 “見つけると舞い踊りたくなるほど嬉しい”が語源といわれる、希少な自生きのこ「まいたけ(舞茸)」。人工栽培するにも、ほかの菌に弱く厳しい温度・湿度管理が必要なため難しいとされたが、同社前身である「雪国まいたけ」の創業者は、独自技術をもってまいたけの大量生産に成功した。

2023年の国内まいたけ総生産量のうち、同社が51・6%とトップシェアを有している。加えて、同社はまいたけ栽培の技術・ノウハウを活かし、ほかのきのこの生産も拡大させている。

24年3月期の連結業績は、売上収益が前期比7・8%増の334億4300万円、コア営業利益が同0・7%増の25億8000万円、コアEBITDAが同3・0%増の48億200万円となった(※)。売上収益の比率では、まいたけ55・2%、エリンギ10・7%、ぶなしめじ20・5%、マッシュルーム・本しめじ・はたけしめじなど「その他のきのこ事業」が12・7%、「その他事業」が0・9%となっている。

※ユキグニファクトリーは、国際会計基準(IFRS)に基づいた農業会計を導入している。それを踏まえ本稿では、日本基準での「売上高」に近しいとされる「売上収益」、日本基準での「営業利益」に近しいとされる「コア営業利益」をそれぞれ読み取った上で、同社業績を示した。
・コア営業利益=営業利益-IAS第41号「農業」適用による影響額-その他の収益及び費用-一時的な収益及び費用
・コアEBITDA=コア営業利益+減価償却費及び償却費

近年は、市場生産量が少ないマッシュルーム・本しめじ・はたけしめじを“プレミアムきのこ”と位置付け、注力。19年、瑞穂農林(京都府)からはたけしめじと本しめじの事業をM&Aにより譲受したほか、23年にはマッシュルーム事業に強い三蔵農林(岡山県)を吸収合併した。その結果、国内きのこ総生産量のうち、本しめじでは99・7%、はたけしめじでは99・4%、マッシュルームでは24・6%の市場シェアを獲得している。

「まいたけのマーケットは参入障壁が高く、過半のシェアを持つ当社とホクト(長野県)、一正蒲鉾(新潟県)の3社の寡占状態です。しかも国内生産量は約5・5万tで、例えばぶなしめじの約11・7万tと比較しても半分以下と少なく、まだまだ成長のポテンシャルがあります。加えて、単価が高く拡大余地のあるきのこのラインアップを拡充し、“プレミアムきのこ総合メーカー”として伸長していきたいと思っています」(湯澤尚史社長)

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