“機能”で稼ぐ商社、その進化のかたち

 
高島は、1915年創業、110年を超える歴史を持つ老舗の専門商社である。現在は建材、産業資材、電子・デバイスの3事業を展開し、東証プライム市場に上場している。同社を一言で表すなら「機能商社」。単なるモノの仲介にとどまらず、設計、施工、加工、製造、物流といった機能を自ら担うことで、顧客の省エネ化・省力化に貢献してきた。統合報告書を読み解くと、高島が目指しているのは急成長ではなく、「変わり続けながら、安定して稼ぎ続ける企業像」であることが見えてくる。

 

建材ビジネスを中核にサステナの先進商社へ

高島の歴史を振り返ると、一貫した姿勢がある。それは「社会の要請に応える事業を行う」という点だ。 

創業当初は繊維専門商社として、日本の産業と輸出を支えた。戦後復興期には建材や物流資材へと領域を広げ、高度経済成長の流れを取り込んだ。1970年代には電子・デバイス分野へ進出し、産業構造の変化にも対応してきた。1990年代以降は、従来から取り扱ってきた断熱資材などの強化に加え、環境意識の高まりを背景に、太陽光関連事業や、省エネルギーに関わる分野へと軸足を移していく。

事業内容は時代ごとに変化しているが「事業を通じて社会に貢献する」という企業姿勢は変わっていない。高島が自らを「進化適合」と表現するゆえんである。

 

「機能商社」のビジネスモデル

現在の高島を理解するうえで欠かせないのが、「機能商社」という考え方だ。
同社は、取引量や取扱商材の多さを競う商社ではない。ターゲットとする市場を定め、そこで顧客にとって本当に必要な機能を提供することで付加価値を高めている。
例えば建材事業では、耐火被覆材などの建材を販売するだけでなく、在庫管理、配送、施工までを一貫して担う。顧客であるゼネコンや住宅メーカーは、複数業者を管理する必要がなくなり、工期短縮や省力化につながる。

産業資材事業では、EVモーター用部品などの輸送に使われる樹脂トレイを、設計段階から関与して製造。顧客の仕様に最適化された資材を提供することで、設計や調達の手間を省いている。

電子・デバイス事業では、部品調達に加え、自社工場でのアセンブリまでを担い、安定供給とコスト競争力を両立している。
共通しているのは、「顧客の工程の一部を引き受ける」点である。この一手間が、高島の収益性と取引の継続性を支えている。

 

 

省エネ化・省力化を成長テーマに据える

高島の中期経営計画「サステナV(バリュー)」では、成長テーマとして「省エネ化」「省力化」が明確に掲げられている。
背景には、カーボンニュートラルへの対応や、人手不足の深刻化といった社会課題がある。
建材事業分野では、省力工法や断熱・耐火といった機能建材への需要が高まっている。
産業資材事業分野では、軽量化や物流効率化に資する資材が求められている。
電子・デバイス事業分野でも、省エネルギー化を支える部品やモジュールの重要性は増している。

高島は、これらの事業分野で「材料+機能」を組み合わせることで、価格競争に陥りにくいポジションを築いている点が特徴だ。

 

成長投資と堅実さの両立

近年、高島はM&Aを通じた成長投資にも積極的であり、その方向性は一貫している。
既存事業と親和性が高く、「機能」を補完・強化できる領域に限定している点である。
同時に、資本効率を意識した経営にも舵を切っている。政策保有株式の縮減や株主還元の強化など、プライム市場企業としての要請にも対応してきた。 

急激な拡大を狙うのではなく、事業の機能強化と投資回収を重視する姿勢は、同社の堅実さを象徴している。

 

長期視点で見る『高島』という企業

高島は決して派手な成長物語を描く企業ではない。しかし、社会の変化に合わせて事業を組み替え、収益構造を進化させ続けてきた企業である。「機能商社」という立ち位置は、その現在地を示す言葉に過ぎない。省エネ化・省力化というテーマが重要性を増すなかで、高島の事業は引き続き社会の要請と重なっている。長期的に「必要とされ続ける企業か」という視点で見ると、同社の強みは静かに、しかし確実に積み上がっている。


代表取締役社長 社長執行役員 高島 幸一 氏

 

 

 

 

 

 

代表取締役社長 社長執行役員 高島 幸一 
Profile◉たかしま・こういち(1952年生まれ)
1978年2月 プロクター・アンド・ギャンブル日本法人入社
2000年7月 プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク エクスターナル・リレーションズディレクター
2002年6月 高島入社  取締役副社長
2003年6月 代表取締役副社長
2004年6月 代表取締役社長
2016年4月 代表取締役社長兼産業ソリューション事業本部長
2016年6月 代表取締役社長兼社長執行役員兼産業ソリューション事業本部長
2018年4月 代表取締役社長兼社長執行役員(現任)


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所在地 東京都千代田区神田駿河台2-2御茶ノ水杏雲ビル
設立 1931年12月
事業内容 建材、産業資材、電子・デバイスの3事業
特徴 設計・施工・加工・製造・物流などの機能を組み合わせた「機能商社」

 

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