「当社は多芽体の会社」、今後の柱は海外
前期増収増益、猛暑で除草剤など需要増
カネコ種苗は2026年5月期、売上高677億3300万円(前期比5.0%増)、営業利益17億4900万円(同15.7%増)と増収増益を達成した。農薬や資材を扱う農材事業が売上高の51%、営業利益の60%を稼ぎ業績を牽引した。また猛暑を背景とした除草剤や遮熱資材、灌水資材の需要拡大が追い風となった。
一方で、中期経営計画では売上高は計画を上回ったものの、利益は未達となった。種苗事業で気候変動の影響による種子生産コストの上昇や、想定を超える種子廃棄損が発生したことが利益を圧迫した。
2027年5月期は売上高700億円、営業利益20億円を計画する。金子昌彦社長は、今後の成長の柱として海外展開を強く打ち出した。世界人口の増加や気候変動、経済発展による野菜・花の需要拡大を成長機会と位置付け、フィリピンやタイの子会社と連携した熱帯地域向け品種の開発や、東欧・インドなど地域特性に合わせた種苗販売を強化する方針だ。なかでも海外向けの野菜種子、花き種子、飼料作物種子は、今後の利益率向上にも寄与する分野として期待を寄せた。
説明会で印象的だったのは、金子社長が「カネコ種苗は多芽体の会社」と表現したことだ。植物は一つの成長点から多くの芽を伸ばす性質を持つが、同社も海外事業や花き、牧草、自社育成品種など数多くの「成長の芽」を持ち、それぞれを育てることで会社全体の成長につなげていく考えを示した。単一事業に依存せず、複数の成長ドライバーを育てるという同社の経営思想を象徴する発言といえる。
将来への布石として研究開発投資も拡大している。2026年5月期の研究開発費は9億7000万円と過去5年間で約30%増加。本社新社屋も完成し、DX推進や部門間連携、人材採用力の向上につなげる考えだ。株主還元では年間配当を48円へ引き上げ、4期連続増配を実施したほか、自己株取得も行い、総還元性向は62.7%まで高まった。








