創業25周年、物流DXの原点へ ロジザードが描く次の成長
今年、創業25周年を迎えるロジザード。クラウド型倉庫管理システム(WMS)を提供する同社の主力サービス『ロジザードZERO』は、全国で約2、000もの物流拠点に導入されている。一方で同社は、単なるSaaS企業にとどまらない。365日対応の有人サポートや導入支援など、物流現場に寄り添う「顔の見えるクラウドサービス」を掲げ、システムと人による支援で課題解決に取り組んできた。これまで物流現場で顧客に伴走してきた経験を強みに、同社は物流全体の最適化を担う企業へと変革を推し進めている。 “物流を止めない”という社会インフラを支えるロジザードのビジネスモデルと成長戦略に迫る。
[プロフィール]かなざわ・しげのり 平成2年4月に株式会社福田屋洋服店(現株式会社アンドエスティHD)に入社。主に経理や情報システム、業務オペレーションの構築など、バックオフィス業務を担当する。当時の物流現場に課題を感じ、平成13年7月に有限会社ロジザードを設立(現当社)し、同社代表取締役社長に就任(現任)。
〝物流を止めない〟 クラウドサービス
「私たちは、単なるSaaS企業ではありません。物流現場をどうDX化していくかをお客様と一緒に考える、いわば物流DXのサプライヤーだと思っています」(金澤社長)
同社はクラウド型倉庫管理システム(WMS)『ロジザードZERO』を主力サービスとして成長してきたが、その役割はシステムの提供にとどまらないという。
「私たちが提供している価値は、安心・安全です」(同氏) 物流の現場では、出荷業務が止まれば企業の販売活動そのものに影響が及ぶ。物流は企業活動を支えるミッションクリティカルな領域だ。こうした現場を支える同社のシステムは、入荷・出荷、在庫管理、棚卸といった倉庫内業務をクラウド上で一元管理し、バーコードやハンディターミナルを活用することで作業効率と在庫精度の向上を実現する。現在では同社売上の79・2%をクラウドサービスの売上が占めるまでに成長し、事業の中核となっている。もっとも、同社の強みはシステム機能だけではない。
「機能を提供することは事業の半分に過ぎません。私たちは“物が止まらないこと”を支える存在です」(同氏)
同社では365日対応の有人サポートや導入・運用支援を通じて物流現場を支え、理論在庫と実在庫の差異解消など現場で生じる問題にも向き合いながら運用の安定化を支援してきた。システムと人による支援を組み合わせ、現場とともに物流を止めない。同社が掲げる「顔の見えるクラウドサービス」は、こうした取り組みを象徴する言葉と言える。
物流にテクノロジーを ~創業の原点~
ロジザードの事業の原点には、社長がアパレル業界で感じた課題意識がある。アパレルの現場では、在庫の過不足がそのまま売上や利益に直結する。商品を必要なときに確実に届けるためには、物流と在庫管理の精度が極めて重要だということを実感してきた。その後、物流業界に関わる中で、社長はもう一つの現実に直面する。倉庫管理システムは大企業向けの高額な投資であり、多くの中小企業では在庫管理や出荷管理を紙の伝票や手作業で行っていたのだ。
「当時、システムはお金のある大企業しか使えませんでした。売上が5億円、10億円規模の会社では、バーコードすら使わず手作業という現場も珍しくなかったのです」(同氏)
そこで同社が着目したのがインターネットだった。ソフトウェアを一括販売するのではなく、ネット経由で利用できる仕組みをつくり、月額料金で提供する。現在で言うクラウドサービスの原型となるASPモデルである。
「SaaSをやりたかったわけではありません。中小企業の物流にテクノロジーを入れたかった。それが根本の想いです」(同氏)
物流現場で感じた課題から生まれたこの発想が、ロジザードのビジネスモデルの出発点となった。
持続可能な物流を実現するために

物流現場のデジタル化を支えてきたロジザードだが、金澤社長は「物流の課題はまだ解決されていない」と語る。
「25年間、物流を変えようと取り組んできましたが、業界全体を見ると持続可能とは言いがたい状況です。人手不足は深刻で、このままでは現場が回らなくなる可能性もあります」(同氏)
実際、バーコードやWMSの導入によって作業効率は大きく改善してきた。かつて100人で行っていた業務が50人で回るようになった倉庫も少なくない。しかし今、物流現場ではその50人すら確保できないという新たな問題が生まれている。
「だからこそ次に必要なのは自動化です。ロボティクスやマテハン(物流機器)を活用すれば、作業効率はさらに大きく改善できます。ただし中小企業にとって、数千万円単位の投資は依然として高いハードルです」(同氏)
こうした課題に対し、同社が目指すのが止まらない物流をこれからも支え続けるための進化だ。ソフトウェアの提供だけでなく、ロボティクスや設備、さらには業務設計まで含め、物流全体を最適化するソリューションを提案していくという。
「私たちは単なるSaaS企業ではありません。SaaSはあくまでも手段です。AIでもロボットでも、物流をより良くする技術であれば何でも取り入れていく。物流の未来に必要なテクノロジーを実装する会社でありたいと考えています」(同氏)
創業から25年。物流にテクノロジーを届けたいという原点は変わらない。その実現の方法は、いま次のステージへと進もうとしている。









