ミドル・ハイクラス特化で成長加速
業界随一の利益率を誇る人材紹介会社
即戦力・管理職・ハイクラス層に特化した人材紹介を手がけるジェイ エイ シー リクルートメント。人材紹介マーケット全体が拡大するなか、同社は売上・利益ともに過去最高を更新し、営業利益率・ROEともに業界屈指の水準を維持する。背景にあるのは、量ではなく質を追求する姿勢と、属人的なスキルを組織的に再現可能にする教育体制。ブロッコリー型の専門組織、両面型コンサルティング、現場を支える人材開発チームが連動し、高度な人材紹介を支えている。そのすべてが、質にこだわる同社の強さの源泉となっている。
即戦力人材市場で独自の地位を確立
即戦力・ハイクラス層への確度の高いマッチング力が業績に直結し、ジェイ エイ シー リクルートメントは売上高・営業利益・経常利益いずれも過去最高を更新した。24年12月期の売上高は前年比13・6%増の391億56百万円、営業利益は前年比10・7%増の90億90百万円、経常利益は前年比11・1%増の91億22百万円となり、売上高営業利益率は23・2%、ROEは31・8%と、紹介手数料を収益源とする人材ビジネスにおいても、際立って高い水準を維持している。利益体質の強さが一段と鮮明になった。
人材紹介マーケット全体も継続的に拡大しており、同社にとって大きな追い風となっている。特に、同社が主軸としているミドルレンジ層の転職者数が顕著に伸びており、人材紹介大手3社を通じた転職者のうち、36歳以上の割合は08年の14・4%から24年には31・6%へと上昇した。
同社は、ターゲットを即戦力・管理職・ハイクラス層に明確に絞り込むことで、若手層を主軸とする他の大手人材紹介会社とは異なる市場ポジションを確立。量を優先せず、あくまで“質”を重視する姿勢が大きな特長であり強みだ。業界全体でAIを活用した効率化が進むなか、同社の主戦場であるミドルレンジ以上の転職市場は、単純なスキルマッチングでは成立しづらく、候補者のキャリアの深度や資質を見極める目利き力が問われる領域である。こうした市場特性を踏まえ、同社では企業と求職者の双方を一人のコンサルタントが担当する両面型の体制を採用。求人側のニーズと人材側の適性の両方を深く理解したうえでマッチングを行う手法は、スピード重視の分業型とは一線を画しており、精度の高い紹介を可能にしている。
ターゲット戦略の的確さと市場の変化を捉える柔軟性により、ジェイ エイ シー リクルートメントは人材紹介業界において際立った存在となった。
属人力を“仕組み化”で 精度の高い人材紹介を実現

▲「100+Club」のメンバー名が掲示されたボード
同社がミドル以上のハイクラス人材に特化した領域で競争優位を築けている背景には、“人に向き合う”ことを最優先にした両面型のアプローチと、それを支える組織設計がある。
中でも象徴的なのが「ブロッコリー型」と呼ばれる組織構造だ。企業・求職者の両方を1人のコンサルタントが担当する同社のスタイルにおいては、コンサルタント自身の専門性の深さが成果を左右する。そこで、同社では現在210以上の専門チームを擁し、業種や職種、ロケーション別に細分化。特定分野に深く携われる環境を整えることで、両面型の強みをより一層引き出している。この「ブロッコリー型」は固定された構造ではなく、市場の動向や顧客ニーズに応じて柔軟に枝分かれしていく点に特徴がある。たとえば、既存チームで特定領域の需要が顕在化すれば、そこを独立させて新たな専門チームとして切り出すことで、より高い専門性と対応力を持つ体制へと進化。まさにブロッコリーの房が広がるように、組織全体が有機的かつ段階的に拡張していく。これにより、各分野の専門性を深く掘り下げた支援が可能となり、コンサルタント個々のスキルも磨かれている。その上、各チームには若手社員に対して経験豊富な先輩社員が「バディ」として伴走する仕組みが設けられており、日常業務の中で実践的な指導が行われる。バディ制度は、単なるOJTにとどまらず、育成やメンタル面でのサポートも担う役割として機能しており、コンサルタントが早期に自立できる環境を支えている。
コンサルタントの成長を後押しするのは、「バディ」の存在だけではない。各事業部には元コンサルタントで構成されたOJT専任部隊を配置。教育専門の部隊だからこそ、きめ細やかな指導を受けることが可能だ。また、バディ役となる先輩社員にとっても、元コンサルタントの教育担当者からサポートを受けられる体制となっている。
このような教育文化の根幹には、面倒見の良い企業風土がある。100人以上の成約実績を持つベテラン社員は、「100+Club」のメンバーとなる。彼らは自発的に分科会を立ち上げ、若手の相談にも積極的に応じており、そうした姿勢がノウハウを共有する文化を育んでいる。社内のロールモデル的存在としても認知されており、目標とする先輩が身近にいることが若手の成長意欲にもつながっている。
こうした組織構造と人材育成の仕組みによって、同社は質を落とすことなく、年率20%という高いペースでコンサルタントの増員を実現してきた。今後もこの体制を維持・強化しながら、継続的な人材拡充によるオーガニック成長を目指していく構えだ。同社が次に見据えるのは、これまで培ってきた強みをさらに進化させる、未来に向けた成長戦略である。
量より“質”で伸ばす、世界一の人材紹介会社へ
同社は今後も、現場力と育成力を武器に、コンサルタントの増員を継続しながらオーガニック成長を志向していく方針だ。中期的には年間15%程度の成長を目標に掲げており、26年12月期に売上高514億円・営業利益120億円、27年12月期には売上高591億円・営業利益144億円の達成を見込む。さらに長期では、34年に売上高2、000億円、世界No.1の人材紹介会社となることをビジョンとして掲げている。
このような成長の実現には、柔軟な組織運営と、時流を読む力が不可欠である。実際、同社では市場環境の変化に即応できる体制を整えており、経営陣が業界や社会の動向を注視しながら、チームの新設や再編を柔軟に実行。この1年ほどでおよそ60チームが新設されており、たとえば生成AIの普及によってプログラマー需要の構造が変化した場面では、社内SEやSIer向け人材のニーズに即応する体制を構築。加えて、エグゼクティブサーチのディビジョンの立ち上げなど、高付加価値領域への展開も加速している。
こうした対応力が、すでに業績面でも成果となって表れており、25年12月期第1四半期(1〜3月)決算では、売上高が前年同期比23・5%増、営業利益が同54・2%増と、大幅な増収増益を達成。経常利益・純利益もそれぞれ+54・3%、+55・7%と力強い成長を見せており、同社の成長戦略の実効性を裏付けている。持続可能な成長基盤を武器に、さらなる企業価値の向上が期待されるところだ。
【会社情報】
株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント(証券コード/市場区分)2124/東証プライム市場
(事業内容)人材紹介事業 厚生労働大臣許可番号 13-ユ-010227(設立)1988年3月7日
(資本金)6億7,226万円
(本社所在地)〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-105番地 神保町三井ビルディング14階
(国内事業拠点)東京/北海道/東北/北関東/横浜/静岡/浜松/名古屋/京都/大阪/神戸/中国/福岡
(代表電話) 03-5259-9221
(子会社)
・株式会社JAC International
・株式会社キャリアクロス
・JAC Recruitment International Ltd
・株式会社バンテージポイント
(グループ拠点所在地)
・シンガポール
・マレーシア(クアラルンプール/ジョホール/ペナン)
・インドネシア(ジャカルタ)
・タイ(バンコク/チョンブリ)
・韓国(ソウル)
・ベトナム(ホーチミン/ハノイ)
・インド(グルグラム/ベンガルール)
・英国(ロンドン)
・ドイツ(デュッセルドルフ/フランクフルト/ミュンヘン)
・米国(ニューヨーク/ロサンゼルス)
(グループ従業員数)2,148名(連結)/1,716名(単体)※2025年3月末現在

ロゴマークについて
JACのロゴマークは、ジグソーパズルをモチーフとし、それは、企業に優秀なプロフェッショナルを“適財適所”でご紹介することを表現しています。
JACはこれからも、人材紹介事業を通じて、人と企業と経済と社会をつなぎ、その成長に貢献してまいります。








