建物の「いのち」をつくる。
創業120年超の総合エンジニアリング企業
「半導体」「蓄電池」「データセンター」
産業施設工事事業は拡大の一途
ダイダンは、大規模ビル・工場・病院・商業施設など、大型施設の空調・給排水・電気を設計・施工する総合エンジニアリング会社だ。
顧客に対してワンストップでのサービスを可能としているのが特徴であり、強みでもある。空調設備工事を主力とする空調大手の中では、高砂熱学工業、新菱冷熱工業に次ぎ第3位に位置する。2024年3月期の業績は、売上高1974億円、営業利益109億円。
事業セグメントは「管工事(空調・給排水衛生工事)事業」と「電気設備工事事業」の2つ。売上比率はそれぞれ84%と16%。
同社は1903年に創業し、ガス灯や電気工事を請け負う大阪電気商会としてスタート、大手空調設備会社では一番の歴史を誇る。120年以上に渡って電気工事や空調設備工事、給排水衛生設備工事などを多数手がけてきた。同社の完成物件は、古くは住友総本店、大阪市役所、日本武道館、近年では東京駅前のJPタワー、最近では羽田空港国際線ターミナルなど多岐に渡る。
建設会社大手50社の受注高でみる建設市場は、この3年間で3兆円以上の伸びを見せ、昨年は約18兆円にものぼり、比例して同社の売上高も増加している。今後も市場は拡大傾向にある。そのキーワードとなるのが、「半導体関連」「車載用蓄電池」「データセンター」だ。
「半導体関連」では、国内で半導体を生産する企業の合計売上高が2020年約5兆だったが、2030年には15兆円にもなるとみられている。半導体工場では製造環境の空気清浄が重要で、高性能クリーンルームの技術が必要になる。
「車載用蓄電池」は、世界市場が2030年には2019年の約5兆円から、約40兆円に拡大。EV向けなど車載用蓄電池の製造プロセスでは、空気中の水分を除去したドライルーム技術が不可欠だ。
「データセンター」は、国内のデータセンターサービス市場規模が、 2022年3・2兆円から 2026年には4兆円にまで拡大。データセンターでは、サーバーの熱を抑える大規模な空調技術が必要になる。
実際、これらに関する同社の産業施設工事の受注高は、23年3月期912億円から24年3月期には1452億円に伸長。全受注高2531億円の57%を占めるまでになった。
2027年3月期までの中期経営計画
売上高2600億円、連結営業利益160億円
同社は現在、2027年3月期を最終年度とする「中期経営計画Phase2《磨くステージ》」の只中にある。定量目標として同年度までに売上高2600億円、連結営業利益160億円、ROE10%以上を掲げる。
同計画は、2030年3月期までの長期経営計画の第2フェーズにあたり、グループ総合力強化に注力していく。事業領域では、「空調衛生工事」を収益の基盤、「電気工事」を変革事業、「海外事業」を成長牽引事業、「再生医療事業」を新たな収益源を目指す事業と位置づけ、人材戦略を基盤とした人づくりを実現し、総合設備工事から『空間価値創造』企業へ変革を図る。
詳細情報はこちらより ダイダン(1980・P)